
11月4日より絶賛全国公開中の映画『桜色の風が咲く』、公開2週目となる11月12日(土)に、実在のモデル福島智教授の出身地・神戸のシネ・リーブル神戸にて、主演の小雪、共演の田中偉登、福島智教授、松本准平監督、結城崇史プロデューサーによる公開記念舞台挨拶を実施。
さらにこの日は特別に小雪が演じた福島教授の母・福島令子さんご本人も舞台挨拶に登壇した。
小雪「出会いに感謝」
主演を務めた小雪は、「この神戸の土地で、先生たちご家族とともに今日という日を迎えることができて、本当に感慨深く思っております。この作品を撮影してから、コロナ禍ということで2年以上の時が経ちましたが、先生のご家族の半生を私たちが、お伝えする役割を担うこととなり、その出会いに感謝しております。」と作品が公開されるまでの長い道のりを含めて感慨深く思い出しながら語り、田中は、「2年ちょっとの撮影から時間が経って、今やっと福島さんの地元の神戸に、福島さんの人生を少しだけ演じさせていただいた僕がこうして一緒に登壇できて、本当に幸せに思っています。」と笑顔で語った。
そして、福島令子さんは、金の蝶の刺繍が入った黒ワンピースにパールのネックレスを身に着け、89歳とは思えない凛とした姿勢で「今日は、大勢来ていただいてありがとうございます。私たちのことが映画になるなんて夢にも思っていませんでしたが、本当に光栄に思っております。」と息子である福島教授の横で喜びを伝えた。
今回初めて、福島令子さんと出会った小雪は「本当に光栄です。本当にお綺麗でお元気で、やはり凛とした姿が、著書などで拝見していたので、それとリンクをして納得がいったという感情です」と令子さんの印象を語り、「先生もお母さまもお元気で、ご健在の方を演じるということで、失礼がなかったかなとか、本当にいろいろ考えていたので、今日こういう日を迎えることができて、良かったです。ちょっと荷が下りた気持ちです。」と令子さんを演じる難しさを振り返りながら、満面の笑顔で令子さんに語りかけていた。
息子・智を演じた田中は「(令子さんに会って)“本当のお母ちゃんだ!”と。僕にとっては本当のお母ちゃんは小雪さんなんですが」と説明に苦慮しながらも、「実際の空気感を目の当たりにして、僕もプレッシャーしかなかったのですが、もしかしたら、ちゃんと福島さんの人生を演じることができたのではないかとちょっと僕も緊張がほぐれました。」と安堵の表情となった。
令子さんは、小雪の印象について「こんな美しいお母さんやったらねぇ、いいんですけど、本当に・・・うふふ、光栄でございます。」とゆっくりと語ると、横からすかさず、福島教授が「母も89歳ですからねぇ。母も若い時はあったわけですけど、きれいすぎる。」と関西出身者らしく、冗談交じりに語り、「小雪さんと話をして、母親としての逞しさ、それは共通するところがある。」と母・令子さんと小雪の“母の強さ”に太鼓判を押した。
劇中、母の強さを感じる印象的な場面のひとつで、自転車を漕ぐ母・令子の腰にひもを巻いて息子・智と走るシーンについては、令子さんが「本当に雪の日も、毎日走りました」と苦労を語ると、小雪は「お母さんの覚悟を感じました」と母親として令子さんのすごさを語った。
そして、指点字、誕生のシーンについて司会者が問いかけると、福島先生と、令子さんが実際にデモンストレーションを披露。
令子さんが「点字は6つの点からなるんです。」と説明しながら、向き合った福島先生の手の上で指を動かいながら、「123456 さとしわかるか」と披露。小雪と田中は身を乗り出すようにその様子を見ながら、そして静まり返った観客席もその“指点字誕生シーン”に大きな拍手を送った。
最後の挨拶では、田中は、「本当にこの映画に出会えてよかったなぁと心から今、感動しています。」と目の前で繰り広げられた奇跡の瞬間の再現に改めて感動をしている様子だった。小雪は、「一生懸命に生きるって本当に美しくて、生々しくて、人間らしくて、そういう生き様にはメッセージがあると思います。この作品が、いろんな年齢層の方に語り継がれるような、そういった作品になってくれればと本当に私たち一同思っています。」と作品への熱い想いを語った。
令子さんは、「今日は本当にありがとうございます。大勢の方に来ていただきまして、私たちの人生がこんな映画になるなんて、思ってもいませんでしたけれども、まぁ、夢中でやってきましたので、ただただ、夢中でやってきました。どうもありがとうございます。」と丁寧な口調で語り、観客からは大きな拍手が。
福島教授は、めったに集まることのない、3人兄弟が会場にそろったと紹介、「亡き父・正美さんも喜んでいるでしょう」と語り、「神戸出身者として誇りをもって生きていこうと思います。」とユーモアを交えて、神戸の観客を沸かせた。
最後に結城プロデューサーから「この作品の完成は、映画での福島親子と実在の福島先生と令子さんが一緒に舞台に立ったまさに今です。」と観客に伝え、映画の本当に完成を祝って、一本締めを希望。
松本監督の音頭で、すべての登壇者、そして観客とともに一本締めをし、舞台挨拶は温かい感動とともに終了した。
写真左から:
結城プロデューサー、小雪、福島充(福島家次男)、福島令子、福島智教授(右横は指点字通訳者)、田中偉登、松本監督
【指点字とは】日本の盲ろう者(視覚と聴覚の重複障害者)はおよそ1万5千人。世界では1千万人以上と言われる人が暗闇と無音の世界で生活上の不便と戦っています。視覚障害者には声での会話が、聴覚障害者には手話や筆談などがありますが、盲ろう者ではコミュニケーションにさまざまな困難があり、いかにコミュニケーションをとるのかが、大きな課題です。そのコミュニケーションの手段の一つとして、「指点字」が用いられています。
その「指点字」とは、福島智さんの母・令子さんが、盲ろう者となった息子と言葉を交わしたい一心で、ふとしたことから考案した新しいコミュニケーション手段なのです。それはリアルタイムで息子の指に自分の指を重ね、点字を打つことで言葉を伝えることのできるコミュニケーション方法でした。福島智さんと令子さんの考案がきっかけとなり、指点字は多くの盲ろう者の方に希望を与えることとなりました。
©THRONE / KARAVAN Pictures
製作国:日本/日本語/2022/ビスタ/5.1Ch/113分/英題:“A Mother’s Touch” 配給:ギャガ
HP:gaga.ne.jp/sakurairo
Twitter: @sakurairo114
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