小田香「優しくされたら、優しくなりたい」世界が注目の和製スローシネマ『雨の詩』にコメント

11月12日(土)〜ポレポレ東中野(2週間限定上映)にて公開中の映画『雨の詩』に著名人の方々より絶賛コメントが到着!
本作は、都会から移住してきたジンと地元民テラを主人公に、日本の片隅で静かに生きる男たちの自給自足生活が描かれている。
彼らが住む家として劇中で使用された「アースシップMIMA」は、環境への負担軽減が期待されるオフグリッドハウス(公共のインフラを必要としない建物)である。
そんな異世界の空気感を漂わせる家で、のんびり生活をする彼らの日常は森や川の音につつまれ、大地と繋がっている。
ノスタルジックかつ四次元的な映像が、あなたを自然の暗闇へと導き“魔術的映画体験”へと誘う。
絶賛コメント
長い時間をかけ、じっとり森に浸透していく雨。
やがて雨は止み、これまで誰も見た事のない新種の植物が力強く芽を出してくるに違いない。
「雨の詩」は、そんな蔦哲一朗の新たな息吹の到来を、しっかりと予感させる。
山本政志(映画監督)
16ミリフィルムのモノクロの45分が心地よかった。
久しく聞いていなかった、雨、渓流、鳥、虫達の音が見事にフィルムに焼き付いている。
東京を離れてどこに移住しようかと模索している僕には嬉しい移住映画。
徳島県美馬市、一度訪ねてみなければなるまい。
武正晴(映画監督/『百円の恋』)
このふたりの関係って何だろう?
っていうか、この家の仕組みってどうなってんの?。
ソーラー発電のオフグリッド、水のダウンサイクル…
え?スッポンの甲羅って食えんの?
とにかく疑問だらけなんだけど、いろんなことがちゃんと循環している。
そのせいだろうか、最初から最後までなんか安心して観れました。
どっかで大変な事が起きても、きっとこの二人と家はこのままなんだろう。
田村余一(百姓/自給自足生活実践者)
陽が昇り、陽が沈む。雨が降り、雨がやむ。
人と人、人と自然がただともにあることがむき出しにされる森の静けさの中で、言葉や書物はどんな意味をもつのだろう。
読むことではじまり、読むことで終わるこの美しい寡黙に満たされた映画を観ながら、
遠い未来に人類が消滅して家々が崩れ、野ざらしにされた詩集のページを、風が翻していく光景を想像した。
アサノタカオ(編集者)
詩の言葉、炎が燃え立つ音、咀嚼音、それらの音が自然のなかですべて溶け合ってゆく瞬間、そこに始原的といっていい人間の”生”そのものが宿っていた。
男ふたりが自給自足の共同生活を営む日本の僻地は、日本であってどこにもない場所でもある。
児玉美月(映画執筆家)
自然との対峙。
『雨の詩』を拝見して、
我々は自然に寄り添えるか?
という問いが浮かんだが、
なんだか適切じゃない気がする。
人間の尺度を超えた自然は恵みも与えてくれるが、
別に我々人間のことを想って雨を降らせたり、
太陽であたためてくれたりしてるわけではないだろう。
でも夜、暗闇の中で焚き火を見ていると、
人間だって自然にそこまで嫌われていないような、
まだ調和できるような気分になる。
自然の中にいてもいいと言ってもらえてる気になる。
勘違いかもしれない。
優しくされたら、優しくなりたい。
自然の摂理が、全然気にしてなくても。
小田香(映画作家)
映画『雨の詩』作品情報
未来へフィルムをつなぐ
世界が注目の次世代監督による“和製”スローシネマ!
デジタルが主流になった映画製作現場で、フィルム撮影を貫きつづける監督の蔦 哲一朗(『祖谷物語-おくのひと-』)は絶滅危惧種的な映像作家である。彼の叙情的な自然描写を追求する姿勢やフィルムに対する情熱はヨーロッパやアジアの映画祭で注目されている。
そんな彼の最新作は、16ミリ白黒フィルムの特性を最大限活かした神秘的な映像が評価され、マルセイユ国際映画祭に招待された。日本の僻地で育った異端児は、かつてタルコフスキーやタル・ベーラ、蔡明亮などが確立した「スローシネマ」をアップデートしようと挑みつづけている。
(英題:Song of Rain) 2021年/日本/ビスタサイズ/5.1ch/モノクロ/45分
出演:須森隆文、寺岡弘貴
監督:蔦 哲一朗 プロデューサー:増渕愛子 撮影監督:青木 穣 録音技師:佐々井宏太
制作進行:辻 秋之 助監督:久保寺晃一 撮影助手:石井綾乃/村上拓也
製作・配給 ニコニコフィルム
(C) 2022 ニコニコフィルム All Rights Reserved.
文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業
予告編リンク: https://youtu.be/G88e8vVIcqg
公式HP: https://www.amenouta-movie.com/
Twitter:@AmeNoUta_movie
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