『12か月の未来図』公開記念パネルディスカッションのご紹介

『12か月の未来図』公開記念パネルディスカッションのご紹介

2020年の教育改革。教育基本法・学校教育法公布記念日に、
教育のプロフェッショナル達が、教育者を目指す
生徒らを前に、教育の未来について話し合う!!

【ニュース】
パリ郊外。移民、貧困、学力低下―。フランスを悩ます社会問題を背景に描く“学ぶこと”の大切さ。エリート教師と問題だらけの生徒の交流と成長がユーモアたっぷりに描かれる感動作『12か月の未来図』が、4月6日(土)より岩波ホールほか全国公開致します。

3月31日は、1947年に「教育基本法」と「学校教育法」が公布された記念日。教育基本法は、国の教育全般の基礎となる法律です。これを受ける形で学校の設置に関する学校教育法が制定され、「6-3-3-4制」とも呼ばれる現在の学校制度(小学校6年間、中学校3年間、高等学校3年間、大学4年間)が形成されました。教育基本法は2006年に全面的に改正されましたが、戦後最大ともいわれる2020年の教育改革でこれからの教育が大きく変わります。

「知識の習得」を中心とした従来の学習から「知識の活用」を目指すスタイルへ。これまで以上に教師と生徒とのコミュニケーション能力は求められ、労働力問題を解消するための移民増加や企業で働く外国人の割合は増え続けているため、言語力やコミュニケーション力もますます必要になります。これからの教育現場に求められていることとは?教育の先進国であるフランスが抱える問題を描いた本作をもとに、教育のプロフェッショナルが集い、教師や4月から新たに教師として教鞭をとるものを含む、教師を目指す学生を前に、2020年の教育改革を前に語り尽くしました。

【日時】
3月31日(日) 13:30~ 映画上映後 15:30~16:30 パネルディスカッション
【場所】
日本教育会館 707会議室(千代田区一ツ橋2-6-2)
【登壇】
海老原周子(一般社団法人kuriya代表理事)、岡田昭人(東京外国語大学総合国際研究院教授)、
深澤裕(元新宿区立東戸山小学校 教員) (順不同、敬称略)

移民、貧困、学力低下―。教育の先進国であるフランスを悩ます社会問題を背景に描く“学ぶこと”の大切さ。エリート教師フランソワと問題だらけのセドゥら生徒たちとの交流と成長がユーモアたっぷりに描かれる本作。公開を間近に控え教育のプロフェッショナルを迎えてパネルディスカッションを実施いたしました。

本作の感想について
自身も、幼少期から様々な国で暮らした経験を持ち、現在は日本に住む外国籍の高校生や若者たちの支援を中心に活動する海老原氏(一般社団法人kuriya代表理事)は「映画を拝見させていただいて、特に10代の多感な時期にどのような大人に出会って、どんな体験をするか。どんな失敗をするかもわからない、または成功体験だったりとか。あと、子供を大人がどれだけ信じてくれるかっていうのが凄く大事で、その子の人生に関わってくることだなって感じました」と本作の印象を語る。

日本の教育制度を中心に他の国の教育制度と比較する研究をしている岡田教授(東京外国語大学総合国際研究院)は「1つ目は、“生徒が非常に多様性があるということ”。元々の国や文化、肌の色や目の色が違います。こういった生徒たちを同じ教室で教えるというのは、非常に難しいんです。2つ目は“生徒と教員の関係”です。我々儒教圏の国々では先生の地位が高く、尊敬の目で見る文化。なので、先生も一生懸命に生徒に関わろうという風潮がある。

一方イギリスなどは教師という職業はあまり尊敬されていない。こうなってくると生徒と先生の関係性は変わってきます。3つ目は教育という文字は語源を辿ると、立場が上の者や年が上の者が知識を棒で叩いて詰め込んでいるというイメージが儒教圏の日本や中国などでの教育という文字の中には入っているんです。

それに対して英語での教育はeducationと言いますが、eduはもともと“引き出す”という意味があるんです。すなわちそれぞれの人に備わっている素質を教育を与えることによって引き出していくという考え方がこの中に入ってます。ですので同じ教育という言葉を使っていても、そのうしろにある“教育のコンセプトが違っている”。この映画の中で生徒一人一人にプレゼンテーションさせて、それぞれユニークな発表をすごく評価していた、それこそまさにeducationであるかなと思いました」と、教育の研究者として、本作の印象的な観点を3つ挙げた。

今年の成人式でも半数近くを外国人が占めるなど、多文化共生ということで新宿区は多くの外国人が暮らす街、約3割が外国の子供たちの通う新宿区の東戸山小学校で教員をしていた深澤氏は「この映画を観て改めて、教師と生徒の信頼関係がないと教育というのは成り立たないなと感じました。」と感想を話した。

多文化の生徒たちと接することについて
映画の中でフランソワが受け持つクラスは、さまざまな人種の子供たちで構成されており、問題を抱えた子が多い。教員時代について深澤氏は、「コミュニケーションに関してですが、子供たちは言葉や文化の壁を乗り越えて、喧嘩もしますけど、どんどん仲良くなっていく。そこに国は関係ない印象です。喧嘩するにしても外国人だからということでの差別的な言葉や喧嘩な全くなかった」と振り返る。

海老原氏も「小学生くらいの子は文化や言葉の壁は簡単に超えてくる印象があるが、中学生くらいから日本にくる子たちは、日本語はすぐに話せるようになるんだけど、友達ができないと言う子が多くて。ただ同じ音楽や映画が好きという、何か共通のものが見つかると仲良くなりやすいと思うので、音楽とかダンスを取り入れて活動してきました。」と明かした。

岡田教授は「日本人と留学生が一緒に学ぶクラスも担当しており、多文化の教育というのは非常に難しいもので、この映画でも多くの場面で出てくるが、教師の持ってる文化と生徒の持ってる文化の違いが極端に出てくることがある。日本人だけで授業をするときに何気なくやっていることでも、留学生が入ってくると全然違ってくる」と話す。

2020年の教育改革で大きく変わっていく教育について、また今後の理想の教育現場について
海老原氏は「これまでのいわゆる詰め込み方教育から、どういう風に学んだことを日々の生活で使っていくかということが一つの転換点だと思う。勿論、基礎的な学力は大事なのは前提の上で、今いろんなことの変化のスピードが凄く早くなってきてると思う。なので、どうやって学べばいいか、その情報は本当に正しいのか、変な言い方ですけど、サバイバル、死活問題になってくる、というのは現場でも感じる。

映画で描かれているように、これからの日本の教育現場も多様化していくんじゃないかと思う。今高校の先生たちとも活動している中で、先生たちはとても忙しい。先生の働き方改革が話題になっているとも思うんですが、その中で生徒も価値観も多様化していく中で、学校の先生だけではなく、私たちNPOだったり地域の方々だったり、色んな大人が生徒たちを支えていくっていうことを進めていければいいんじゃないかと思う。」と、先生だけに任せるだけの教育は変えていくべきと指摘。

岡田教授は「世界情勢はどうなっているかというと、“VUCA「(Volatility:激動、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:不透明性)の時代と言われ、世界は今予測不可能な問題が起こりつつある中で、AI(人工知能)が開発され、今世紀中に公認会計士や大学の文系の先生とか2万もの仕事が無くなるんです。こういう社会になっていくとどういう力が必要になっていくかというと、自分で問題を発見し解決していく能力が求められていく。

ですので、今までのような既存の知識を覚えてそれを試験で答えていくという才能ではないんです。答えのない問題に取り組んでいかなければならないという状況になっていく。そこで大切になっていくのが”批判能力“と”創造性“で、学校の教育の中で身に着けていかなければならない。」としながらも、「生徒の家庭環境によってその能力が影響を受けること。

新しく導入されるアクティブラーニング(生徒のプレゼンテーションやディベートなど)をどうやって指導するか?そしてそれをどうやって評価するのか?教育改革に向けて考えなければならない」と問題点を挙げる。深澤氏は「ゆとり教育の中にあった総合学習の時間に、新宿の学校で大豆を育て、豆腐や味噌を作ったりした。そういったことは大人になったらきっと花開くと思っている。(教育改革で)小学校から英語を教えることになるし、アクティブラーニングなども出てきて、教えられることが増えていく。それを使ってコミュニケーションを増やし豊かにしていくことは必要だと考えます。」と語った。

異文化の生徒たちとの信頼関係の構築について
自らも都内で小学校の教員をしているという参加者は「映画の中で先生と生徒の信頼関係が確立されていく中で、子供たちが変わっていく様子がたくさん見られて、改めて信頼関係が大事なんだと感じました。」という感想を持ったようで、続けて「異文化だったり様々な違いがある子供たちとどのように信頼関係を築いていけばいいのか教えてほしい」との質問に、深澤氏は「そのお子さんを理解することが大事。異なる文化を聞きながら、クラスで共有していくことをしました」と、生徒と接する際に心がけていたことを明かすと、海老原氏も「大事にしたことは、その子にきちんと向き合うこと、異文化に対して関心を持ち、いいと思ったものに対しては心から褒めるということ、そして外国籍であろうと日本人の生徒であろうと差別的な発言をした時には全力で怒ること」とアドバイスを送った。

外国籍ながら日本で育ったという別の参加者からは「文化や歴史、ルーツが異なる子供たちがこれから日本にも増えていく中で、そういった人たちに対してどう対応し接すればいいのか」との質問に、岡田教授は「答えは映画の中のフランソワとセドゥの間に生まれた絆にあると思います。絆というのはお互いに半分自由を失っている。この映画の中でフランソワは子供たちとの絆が深まる中で自分はどんどん不自由になっていく。

でもそれはセドゥら子供たちも一緒だった。その中で何か新しいものが生まれていく。これから色んな人たちと出会っていくと思いますが、私が実感しているのは絆というものは決して解決できない苦しみの中で、何かが生まれるのを待つしかないことだと考えています」と答えた。来年の教育改革を前に、教育のプロとこれからの教育現場を担う若者たちによる非常に意義深いパネルディスカッションとなりました。

4月6日公開 映画『12か月の未来図』

■ 作品紹介
パリ郊外。移民、貧困、学力低下―。フランスを悩ます社会問題を背景に描く“学ぶこと”の大切さ。エリート教師と問題だらけの生徒の交流と成長がユーモアたっぷりに描かれる感動作!フランスが誇る名門アンリ4世高校の教師フランソワはある日突然、パリ郊外の教育困難中学に送り込まれる。

映画 12か月の未来図

いわゆる“生粋のフランス人”を相手にしてきたフランソワにとって、移民など様々なルーツを持つ生徒たちの名前を読み上げるのも一苦労。カルチャーショックに打ちのめされながらも、ベテラン教師の意地で問題児たちと格闘していく。そんな中、お調子者のセドゥが遠足で訪れたベルサイユ宮殿でトラブルを起こし退学処分になってしまう。フランソワはこれまで感じたことのなかった使命感から、彼の未来を守るための戦いに挑む・・・。

映画 12か月の未来図

フランスで今、大きな社会問題となっているのは移民の子供たちが直面する学力低下と教育の不平等だ。日本でもこれら教育問題は度々報道されている。監督のオリヴィエ・アヤシュ=ヴィダルは、よりリアルな教育現場を描くために中学校に2年間通い、500名の生徒と40名の教師と共に学校生活を送り本作を完成させた。監督の入念な取材の結果、教育問題という難しいテーマを扱いながら、トラブルだらけの生徒たちと堅物なフランソワの交流と成長がリアルに描かれる感動作が誕生した。

 ストーリー
フランスが誇る名門アンリ4世高校の教師フランソワはある日突然、パリ郊外の教育困難中学に送り込まれる。

映画 12か月の未来図

いわゆる“生粋のフランス人”を相手にしてきたフランソワにとって、移民など様々なルーツを持つ生徒たちの名前を読み上げるのも一苦労。カルチャーショックに打ちのめされながらも、ベテラン教師の意地で問題児たちと格闘していく。

映画 12か月の未来図

そんな中、お調子者のセドゥが遠足で訪れたベルサイユ宮殿でトラブルを起こし退学処分になってしまう。フランソワはこれまで感じたことのなかった使命感から、彼の未来を守るための戦いに挑む・・・。

映画 12か月の未来図

■ 予告動画

■ キャスト
ドゥニ・ポダリデス「最初の人間」(12)
レア・ドリュッケール「ジュリアン」(19)

■ スタッフ
監督・脚本:オリヴィエ・アヤシュ=ヴィダル

■ 公式サイト
http://12months-miraizu.com/

■ コピーライト
© ATELIER DE PRODUCTION – SOMBRERO FILMS -FRANCE 3 CINEMA – 2017

4月6日(土)より岩波ホール他全国ロードショー




※映画ログ会員の評価・感想・ネタバレ※

『12か月の未来図』4月6日(土)より岩波ホールほか全国公開決定!!

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