完成度抜群の学生映画に熊澤尚人監督、三島有紀子監督、入江悠監督が演出家魂さく裂!第30回東京学生映画祭

第30回東京学生映画祭

完成度抜群の学生映画に熊澤尚人監督、三島有紀子監督、入江悠監督が演出家魂さく裂!
第30回東京学生映画祭Cプログラムトークセッション

8月3日(土)、渋谷のユーロライブにて第30回東京学生映画祭がスタートしました。お昼からコンペティション部門作品の上映が始まり、19時40分からはCプログラムの『中村屋酒店の兄弟』『ツヤ子81歳』『moondust』が上映されました。上映後には3作品の監督・キャストが登壇して一言ずつ挨拶。その後、各監督は審査員の入江悠監督(『ビジランテ』『22年目の告白~私が犯人です~』)、三島有紀子監督(『幼な子われらに生まれ』『しあわせのパン』)、熊澤尚人監督(『ユリゴコロ』『ごっこ』)とのトークセッションに参加。完成度抜群の作品に刺激を受けた大先輩が、演出家として熱いメッセージを届けてくださいました。

はじめに監督・キャストから一言挨拶

第30回東京学生映画祭

『ツヤ子81歳』

第30回東京学生映画祭

『ツヤ子81歳』中川楓子監督(左)

中川楓子監督
ツヤ子の孫の中川楓子です、ご鑑賞いただきありがとうございます。私自身もこの作品を久しぶりに観て、とても優しい気持ちになりました。皆様がどのような感想を感じていただいたのか、よろしければお伝えいただけると嬉しいです。

『moondust』

第30回東京学生映画祭 『moondust』五十嵐まさとさん、川﨑樹音さん、霧道百桃監督

『moondust』五十嵐まさとさん、川﨑樹音さん、霧道百桃監督

五十嵐まさとさん
金髪のルイ役を演じました五十嵐まさとです。以上です。

川﨑樹音さん
エルを演じました川﨑樹音です。
花を食べて生きていて喋らない女の子役だったのですが、私は喋りますし、花は食べないです。ご鑑賞いただきありがとうございました。

第30回東京学生映画祭『moondust』川﨑樹音さん、霧道百桃監督

霧道百桃監督
監督の霧道百桃です。私も久しぶりに観て、謎な映画だなと客観的に思いながら観ていました。学生最後ということで、今の自分に何ができるのだろうかと思った時に、青春だったり恋愛だったり、自分が妄想していた夢か現実かわからないようなことを映像にしてみたいなと思って作りました。ご覧いただきありがとうございました。

『中村屋酒店の兄弟』

第30回東京学生映画祭第30回東京学生映画祭『moondust』川﨑樹音さん、霧道百桃監督

『中村屋酒店の兄弟』キャスティング担当樋井明日香さん(左)

キャスティング担当・樋井明日香さん
今日は音楽を担当した「総理」が参加できなかったのですが、スタッフ代表として参加させていただきました。皆さん遅くまでありがとうございました。

長尾卓磨さん
兄役の長尾卓磨です。上映の機会をいただきありがとうございます。

第30回東京学生映画祭 『中村屋酒店の兄弟』長尾卓磨 藤原季節 白磯大知監督

『中村屋酒店の兄弟』左から長尾卓磨さん 藤原季節さん 白磯大知監督

藤原季節さん
弟役の中村和馬を演じました藤原季節です。この作品は脚本を樋井さんからいただいた時に、脚本の面白さがわからなくて、最初はお断りをしました。でも、どうしても白磯君に会いたいと思い、一対一で話をして、「藤原さん、僕は兄弟の微妙な距離感を描きたいんです!」と言われて、喫茶店の喫煙所に二人で行き、あの兄弟のように喋って、「監督やりたいの?作家やりたいの?俳優やりたいの?」って聞いた時に、「僕、なんでもいいんです!」と。それが凄く気持ちのイイ男だなと思って、その場で脚本をもう一度読み直して「ぜひ、僕にやらせてください。」と伝えたエピソードがあります。今日はありがとうございました。

第30回東京学生映画祭

白磯大知監督
監督をしました白磯大知です。今色々と伝えていただいたので、、本日はありがとうございました。

続いて、審査員の皆さんと学生監督によるトークセッション!

中村屋酒店 画像

『中村屋酒店の兄弟』

―――― 司会:皆さんよろしくお願いします。早速、フリートークでお願いします。

第30回東京学生映画祭

右から熊澤尚人監督、三島有紀子監督、入江悠監督

熊澤尚人監督
じゃ、僕から。酒屋のお話はソリッドで凄く好きです。そういう前提をもっています。認知症だったお母さんが亡くなってしまいます。あれはどうして亡くなってしまったのですか?

白磯大知監督
何かがあったということではなく、あまりそれには触れず…。

熊澤尚人監督
裏設定的にはありますか?

白磯大知監督

第30回東京学生映画祭ないです。寿命です。

熊澤尚人監督

第30回東京学生映画祭寿命、なるほど。そこが唯一問題点だと僕は思いました。語らないといけないということを言っているわけではなくて、監督が決めてないなっていうことがバレちゃっていて、それは良くないなと思いました。
なぜなら、それが弟の母親に対する気持ちだったりとか、兄の母親に対する気持ちだったりに凄く影響をしてくるからです。だからそれが決まっていないというのは改善点ですね。
でも、やろうとしていることは凄くいいなと思っているからこそ、言いたくなりました。

白磯大知監督
呆気なく死んでしまうことを表現したかったのですが。

熊澤尚人監督
呆気なく死んでしまうことと、決めていないことは別ですね。

三島有紀子監督
私は勝手に薬かなと思っていました。

熊澤尚人監督
台詞で「薬」って言っていましたからね。

三島有紀子監督

第30回東京学生映画祭兄貴が観ている時はちゃんと薬を管理できていて、弟しかいない時は薬を管理できていないから、飲まなきゃいけない薬を飲まなかったから、それをきっかけに高血圧がとかそういう何かがあるのだろうなぁって勝手に思いましたた。

熊澤尚人監督
そうだったらいいですけどね。そういう風に裏設定がしっかり決まっていて欲しいなって。

入江悠監督
スゴイなと思いました。めちゃくちゃ完成度高いなと。僕は質問というか、ほとんど非の打ち所がないなと思ったんですけど、最後の弟が歩いているじゃないですか?お兄ちゃんが店に戻っていきましたよね。あの戻るタイミングは演出のことで、良いのかな、ちょっと早くないですか?

白磯大知監督
そうですね。
何回かテイクはやってみて、台本を読んでいただいてラストシーンのお兄ちゃんの表情とか内側の想いはあまりお伝えしていなかったのですが、1回目のテイクはずっと見守っている兄、2回目はパッと戻るパターンにした時に、兄弟という関係性が凄く戻っていくような感じがして、ずっと見ていると弟への想いが強すぎると僕は感じてしまって。お兄ちゃん役の長尾さんともお話をして、「僕もそういう気持ちです」と言っていただいて、それは素敵だなと思いました。

入江悠監督
あそこは好みの問題になりますけど、凄く難しいなと思って。かなり愛情が深いお兄さんじゃないですか。だから難しい所だなと思いました。あともう一つ、これは完全に個人的な好みを押し付けるだけなのですが、魚が映って欲しかったなと思ったんです(笑)。
(魚の画)欲しくないですか?

第30回東京学生映画祭

熊澤尚人監督
同じです。あれはフリでやっているなってバレちゃっているから。

入江悠監督
ちょっとカロリー高いんですけどね、魚は。結構後々まで「釣りいこうぜ!」みたいな話があるから、二人の幸せの象徴として魚見たいなって思ったんです。

熊澤尚人監督
ただ、撮影のカロリーは高い(笑)。

三島有紀子監督
引っ掛けておけば良かったのでは!?

入江悠監督
そうするとスゴイ活きの悪い釣りバカ日誌みたいになっちゃう(笑)。
ちょっと見たいなって気持ちがありました。それ以外はほとんど文句ないです!

三島有紀子監督
私は完成度が高いので、学生でこういう映画を撮れたんだなという。

入江悠監督
あとは俳優がプロの方なのでうまいですよね。撮影もうまいですよね。

熊澤尚人監督
でもね、本も良かったですよ。さっきツッコミ入れているけど、基本いいと思っているからツッコミ入れているわけだから。

三島有紀子監督
私はラストのシーンと、もう一つ兄弟の殴り合いの喧嘩をするシーン、あそこの二人の緊張感がほぐれる瞬間があるじゃないですか。あの瞬間がもうちょっと長くてもいいんじゃないのかなと。あそこまでいっていたら、もう少し緊縛している時間を長く観たかったなという、これも本当に好み。やってみたいなってこの芝居。

熊澤尚人監督
本当にいっぱいありますよ。僕だったらやっぱりお兄さんの苦しみが足りない。個人的には完全にそう思っている監督だから。

三島有紀子監督
みんな演出したい(笑)。

第30回東京学生映画祭

熊澤尚人監督
演出家だから。同業者としての嫉妬(笑)
なんでこうなってないんだよ、みたいなのがいっぱいありますよ。でも、それを決めるのは君だから。そういう意味ではすごくいい映画です。

入江悠監督
そういう欲望をかき立てる作品ですね。

三島有紀子監督
ロケ場所も良かったですよ。

―――― 司会:三島監督はNHKでドキュメンタリーの制作に携わっていらっしゃいました。『ツヤ子81歳』はいかがでしたか?

つやこ81歳,画像

『ツヤ子81歳』

三島有紀子監督

第30回東京学生映画祭NHKでドキュメンタリーの企画と演出を担当していたのですが、ドキュメンタリーはまずカメラと被写体の関係性が凄く大切だし、もう一つはその人がどんどん見えてくる場を設定するというんですか。誰かと出会うとか、会いにいくでもいいと思うのですが。そういう意味では、今回はご家族であるお孫さんがカメラを向けているということで、まず関係性が出来ています。そこがクリアされていて、スゴイ良かった。で、旅に行くという設定ができていて、どんどんツヤ子さんの表情が変わっていくじゃないですか。だからこれも本当に完成度が高くて、ポレポレ東中野で上映されていてもいいのかなと思うくらいでした。
あとは、家族がすっごくいい家族ですよね。音楽もお姉さんが?

中川楓子監督
はい、お姉ちゃんという表現があれだったのですが、私の母です。ツヤ子にも私の家族にもお姉ちゃんと言われているんです。

三島有紀子監督
そうなんですね。音楽も凄く良かったので、私も大阪の人間だし、母親もまだかろうじて生きてくれているので、近く感じるものもあり、凄く良かったと思います。

中川楓子監督
ありがとうございます。

熊澤尚人監督

第30回東京学生映画祭僕も凄く良かったと思います。おそらく楓子さん自身が出ているんだろうなと思ったし、ツヤ子さんも凄く良い顔になっていくし。唯一、これは出口の問題で、どこでかけるか何をやるか、これは完全に個人的な意見なのだけど、僕は観察映画の想田和弘監督の作品が大好きな監督なので、ナレーションが綺麗にまとまり過ぎちゃっているというのをもう少し自分の好きなようにやった方がいいんじゃないの?っていう風に個人的には思いました。

中川楓子監督
分かりました!

熊澤尚人監督
なんかNHKのドキュメンタリーのような。

三島有紀子監督
NHKだからグッときたのかな(笑)。

第30回東京学生映画祭

熊澤尚人監督
ちょっと説明しすぎちゃったな、みたいな。僕が好きな想田さんの映画はナレーションがゼロだから。そういうアプローチもあるから、このアプローチはNHKとかでは凄く求められるアプローチだろうけど、映画だと違うアプローチもあるから、その辺は探っていくと面白くなるんじゃないの?って。

中川楓子監督
やってみたいなとは思うものの、なかなか踏み込めない所で。

熊澤尚人監督
踏み込んじゃった方が良いと思います。
是非、相田監督の作品もご覧になっていただいて。僕は今年フランスの映画祭で一緒でしたが、凄く魅力的な方だったので、是非そういうのも観てやってみてください。

中川楓子監督

第30回東京学生映画祭ありがとうございます。次は挑戦してみます。

―――― 司会:それでは『moondust』について、まず霧道監督からアピールしていただけますか。

moondust,画像

『moondust』

霧道百桃監督
この映画を作るにあたり、自分の学生生活を振り返って楽しかったことといえば、友達と遊ぶこと、そして異性への幻想を抱きながらの日々を思い出していて、その何気ないことが自分にとっては大事なことで、それはどの人にとっても大事だと思うので、そういう楽しい時間がずっと続いて欲しいと思ったりだとか、逆にこんな辛い現実なら終わって欲しいと思ったり、そういう夢と現実の境目を映像的に表現できたらいいなと思って作りました。

熊澤尚人監督
この作品のグレーディング(※)のセンスは抜群だなと思いました。
グレーディングで夢の部分を表現しようとしているのは凄く面白いなって思いました。
※グレーディングとは、色補正や色をカスタマイズして色調を整える画像加工処理のこと。

三島有紀子監督
私はラストの振り返りの顔とかが凄く好きです。実を言うと、「彼女が海」みたいな話を聞かないで、あの顔を見れた方が私は好めたかなって、それまで経験した彼女があそこでああいう風に振り返ると全てが集約されていくのかなって。海の話をしたことで、途端に話が凄くデカくなってしまって、今までのことが消えてしまったっていう印象でした。あの観念的な台詞が私も好きなんですけど、ないのとあるのとでは相当あの顔の意味は違ってきたなという印象がありました。
ただ、日本映画であそこまで美術に凝ったりとか、なかなか出来ない中で、自分の世界観が作れるというのは素晴らしいことだなと本当に思います。

霧道百桃監督
ありがとうございます。

入江悠監督

第30回東京学生映画祭僕は男子校で育ったので、あの男は死ねばいいと!

(会場爆笑)

三島有紀子監督
ですよね(笑)。

入江悠監督
でも、女子の憧れなんですよね…。

熊澤尚人監督

第30回東京学生映画祭いや、死ねばいいと僕も思います。

霧道百桃監督

第30回東京学生映画祭彼はもう一人の主人公という風に描いていて、映画の中では現象として色んなことが起こっていると思うのです。例えば、自分の気持ちが下がっていったら相手の気持ちも冷たく感じるとか、日々それが現実か幻想か分からないけど、みんな感じるっていう受け取り方は演出したいと思ったので、あういう感じのよく分からない性格の男の子になっちゃったんですけど。まあ、でもちょっと酷いですよね。

入江悠監督
まあ、でも最初に彼女に名前を聞いて呼び捨てになる時点で、フラグ立っていましたけどね。イイ男のはずがないですよ。

三島有紀子監督
イイ男じゃないけど、そういうことに傾いていくことってあるじゃないですか。それは男に限らず。本来、花を食べていれば満たされていたのが、違うものにどんどん突き進んでいった時に、どんどん心が枯れていくっていう表現としては、なんかとても権化のような男だったなと。(男女が)逆だったら好きなんじゃないですか?

第30回東京学生映画祭

入江悠監督
そうかもしれないですね(笑)。

熊澤尚人監督
そういう意味では普遍的な話なんですよね。

三島有紀子監督
あとはいつも見ている風景が夢のように見えたのが素敵な撮影だったなと思います。橋とか、デニーズでさえも。デニーズとかが見えた瞬間にロケハンで避けたいとか思うじゃないですか。映さないけど夢のようにああいう風に撮ることもできるんだなぁと。

入江悠監督
陸橋みたいなものを見に行く時に、チラッと下の方に軽の車が映っていたんです。あの時に軽トラがちょっとだけ映っちゃっている感じが可愛いというか、そういうのを排除して撮ったんだなと。涙ぐましい苦労を感じることが出来て、僕は好感を持ちました。日本でああいう撮影をするの凄く大変ですもんね。

―――― 司会:最後に皆さんから告知などございましたらお紹介お願いします。

入江悠監督
来年公開の映画がありますけど、手ごわいライバルがいっぱいいるなと思って段々とうかうかしていられないですよね。来年の1月末に『AI崩壊』の公開を控えています。

三島有紀子監督
私も来年2月に公開予定があるのですが、まだ情報解禁がされていないのでひっそりとそれだけお伝えさせてください。

熊澤尚人監督
僕も情報解禁されていませんが、つい2週間前くらいまで撮っていた作品が来年公開されます。

映画界の第一線で活躍している入江監督、三島監督、熊澤監督の熱いメッセージは学生監督にとって宝物になったのではないでしょうか。同じ作り手としてのリスペクトがあるからこそのツッコミを大切にしてください。そして、いつかまた白磯大知監督、中川楓子監督、霧道百桃監督の取材が出来る日を楽しみにしています!

第30回東京学生映画祭
グランプリは今夜発表!!

【開催概要】
名称:第30回東京学生映画祭
会期:2019年8月3日(土)ー 8月4日(日)
会場:渋谷・ユーロライブ
作品数:東学祭コンペティション部門9作品、短編コンペティション部門7作品、特別招待作品1作品(全17作品)

【ゲスト審査員】
■東学祭コンペティション部門
入江 悠(映画監督)
三島 有紀子(映画監督)
熊澤 尚人(映画監督)※敬称略
■短編コンペティション部門
平林 勇(映像ディレクター・映画監督)
大槻 貴宏(ポレポレ東中野支配人・下北沢トリウッド代表)※敬称略

【公式HP】
http://tougakusai.jp/
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