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リンさんは初めてすずさんに‟絵を描いて欲しい”って言ってくれた人。映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』
リンさんは初めてすずさんに‟絵を描いて欲しい”って言ってくれた人
第32回東京国際映画祭
11月4日(月)舞台挨拶
TOHOシネマズ六本木ヒルズ
司会:奥浜レイラさん
ゲスト:片渕須直監督、のんさん、岩井七世さん、コトリンゴさん
――まずは上映を観ていただきました皆様にご挨拶をいただければと思います。
のんさん:すずさんの声を演じさせていただきました、のんです。今日はよろしくお願い致します。
岩井七世さん:白木リンさんの声を演じさせていただきました、岩井七世です。今日はこんな大きな映画館で皆さんにお会いできて嬉しいです、よろしくお願いします。
コトリンゴさん:音楽を担当しましたコトリンゴです。今日は私も皆さんと一緒に凄く楽しみにしていました。まだまだ続きがあるということで一緒に応援していきたいと思います、よろしくお願い致します。
片渕須直監督:どうも、監督の片渕です。2016年の東京国際映画祭で『この世界の片隅に』という映画が、初めて皆さんの前に現れることが出来たんですけれど、それから丸3年経って帰って来れたような気がします。今日はどうも有難うございます。
――片渕監督、いよいよこれが世界で初めてのお披露目、今皆さんにご覧いただいたわけですけれども、改めておめでとうございます。そして、今、劇場でご覧になっていたということで、今の心境を是非お願い致します。
片渕須直監督:凄く長い映画なのですが、実はまだ途中でして(会場笑)、まだ後数分長くなります。今日これから帰ったら作業なんですが。でも、ほんとに長い長い映画を今日お付き合いいただいて、でもそれはもっと長いすずさんの人生の1ページ、2ページ、、、ちょっとだけページが多く開かれたということなんだろうなって思うんですね。すずさんの人生をこの映画を通じて感じていただけたらと思いました。
―エピソードが更に追加され、また12月20日から皆さんに観てもらいたいと思います。
そして、のんさん、岩井さんですけれども前作の『この世界の片隅に』から3年が経ちました。再び、のんさんはすずさんを、そして岩井さんはリンさんを演じられて如何だったでしょうか?
のんさん::私自身が、期間を置いてから同じ役に挑むってことが初めての経験だったので、凄く緊張していたんですけど、何度も作品を読み返したり原作を読み返したり、新しいシーンに対してどういう解釈をしようかなっていうのを構築していく内に、何となくすずさんの皮膚感が蘇ってきて、録音のスタジオに行ったら監督がいらっしゃって、凄く監督への信頼があったので、しっかりと強い気持ちをもって臨むことができました。
岩井七世さん:私も凄く、3年経って、この新しく入ったシーンを凄く楽しみにしていたので、自分でも呉に行ったり、前作『この世界の片隅に』を10回ぐらいいろんな映画館に観に行ったりとか、私自身作品のファンだったのでとても緊張しましたね。なので、なるべく気張らず、リラックスして、監督の言葉に耳を傾けて、はい、当日は臨みました。
――コトリンゴさんは今回書き下ろしが4曲、エンディングの「たんぽぽ」は再録されたということですが、そこにはどんな意図が込められていたのでしょうか?
コトリンゴさん:今回はすずさんの世界で実はリンさんが凄く大きく関わっていて、それで周作さんもちょっと関わってくると思うんですけれど、前作で創っていたそれぞれの登場人物の音楽を発展させる形で、自然に新しいシーンが繋がっていけばいいなと思って創っていったのと、最後の「たんぽぽ」は、聞いたイメージはそんなに変えたくなくて、でも多分こもう次作はもうなく、、、あの、これでほんとの完結なんですかね、、、?
あの、、、分からない、分からない(会場笑)。
なんとなく、そういうちょっと名残惜しい重厚感を出したくてアレンジを豪華にしています。
――片渕監督、今のお話には中々お答えづらいと思うんですが、それだけ原作からのエピソード、これも外せないし、これも外せないやっぱり大事だ、という思いがとても伝わってくるのですが、前作『この世界の片隅に』と本作とはどこが一番違うのでしょうか?是非、本作に込めた思いと一緒に聞かせてください。
片渕須直監督:『この世界の片隅に』はすずさんと、どちらかというと主にお姉さんの径子さんの二人の葛藤というか、二人の関係がどんな風に変わっていくかで、すずさんという人の進んでいく道を示していたんじゃないかなと思うんですけど、今回はもっと複雑になって、でも人間というのはそんな簡単なものではないよ、もっと沢山のものに出会って、もっと沢山のものに苛まれて、でも生きていかなければいけないわけですね。すずさんはもっと沢山の人のことを見るわけです。
前の映画で描かれていたいろんなシーン、いろんな表情、いろんな台詞っていうのが、今回のもので沢山また新しい場面を加えたことで、“あ、ほんとはこんなことをすずさんは心の中に抱いていたのかもしれない”、“あんな風に思いながらこのことを喋っていたのかもしれない”ってことが思い描いていただけるようなものになっているのではないかなと思います。
より、すずさんという人の人格、すずさんという人が、存在が多面的になったということなんじゃないかなと思います。
――のんさん、今回はリンさんと周作さんの秘密にも触れることになりますけれども、すずさんはどのようなお気持ちで演じられていましたか?
のんさん:そうですね、凄く複雑な気持ちだなと思いましたね。リンさんがすずさんの中でこんなに存在が大きい人だったんだなっていうシーンが沢山あるし、リンさんは、すずさんが呉に来て、知らない家族の中にお嫁入りして、お嫁さんの義務っていうのを果たすことで自分の居場所を見つけなきゃいけないっていう風に過ごしていく中で、初めて呉ですずさんに“絵を描いて欲しい”って言ってくれた人なんですよね。
だからそれが、自分の持ってきたもので、自分の中にあるものを認めてもらえたっていう、そこを凄く心の拠り所にしていたんじゃないかなと思って、ほんとに大きな存在だなと思っていたので、その中で周作さんとの秘密っていうのが、すずさんにとっても自分がどこに感情を置けばいいのかっていうのに戸惑っている気がして、で、その中でもいろんな感情がこう、入れ替わり立ち代わり外に出て来るんですけど、なのでその複雑な部分を、あの、難しいなと思ったんですが、ほんとにスタジオに行って、監督に演出をしていただきながら、“あ、こういうことか”っていう気づける部分があったのでなんか、すごく、、、、、あの、自分自身も沢山気付けた部分があって、あの、再び挑めることが出来て良かったなって思います。
――思わず、のんさんのお言葉で思い出し泣きをしてしまいそうになりました。
(マスコミ向けフォトセッション)
――最後に、のんさん、監督、代表してお客様にご挨拶をお願いしたいと思います。
のんさん:皆さん、今日は本当にお越しいただき有難うございました。ほんとに、さらにいくつもの片隅にという新作となって、新たな気持ちで観られる映画だと思うので是非沢山の人にお勧めしていただけたら嬉しいなと思います。今日は有難うございました。
片渕須直監督:『この世界の片隅に』という映画があって、でも『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』というのは、また新しい映画だというつもりで創りました。
今日は、そういう映画の、ほんとに初めて一般の方々に観ていただける機会になりましたが、こんなに沢山の方々に最初から観ていただいてほんとにこんなに嬉しいことはないです。今日、ほんとにこの時間を共有していただいて有難うございました。これからも宜しくお願い致します。
ありがとうございました!!
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』
12月20日(金)テアトル新宿、ユーロスペースほか全国公開
©2019こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」制作委員会
第 32 回東京国際映画祭
■開催期間:2019 年 10 月 28 日(月)~11 月 5 日(火)
■チケット絶賛発売中!
■会場:六本木ヒルズ、EX シアター六本木(港区) 、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場(千代田区)
■公式サイト:www.tiff-jp.net
第 32 回東京国際映画祭
2019 年 10 月 28 日(月)~11 月 5 日(火)
©2019 TIFF
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