松本穂香「純粋に好きな作品」映画『わたしは光をにぎっている』公開記念舞台挨拶で作品愛を語る!

松本穂香「純粋に好きな作品」
映画『わたしは光をにぎっている』公開記念舞台挨拶で作品愛を語る!
『四月の永い夢』(17)で第39回モスクワ国際映画祭・国際 映画批評家連盟賞を受賞した新鋭・中川龍太郎監督の最新作『わたしは光をにぎっている』が 11 月 15 日(金)より全国公開となり、本日11月16日(土)に新宿武蔵野館にて公開記念舞台挨拶が行われました。上映後に、主演の松本穂香さんをはじめ、渡辺大知さん、徳永えりさん、そして中川龍太郎監督が登壇しました。
松本穂香「純粋に好きな作品」
―――― 1年前に撮影をされ、宣伝期間を経てようやくこの日を迎えました。改めて今のお気持ちをお聞かせください。
松本穂香さん
不思議な気持ちです。
試写で観てからスゴイ好きな作品で、この作品が色んな人に愛されたらいいなと思ったことを覚えていて、いざ、昨日公開して皆さんが映画を観てくれて色んな感想をいただいて、凄く嬉しい気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。
―――― 涙が流れたと伺いました。

宮川澪 役の松本穂香さん(中央)
松本穂香さん
はい。
自分が出演している作品をこんなに客観的に観れたのも初めてでしたし、凄く純粋に好きな映画だなと思って、普通に映画を楽しんで温かい気持ちになり、流れた涙だと思います。
―――― 中川監督は今のお気持ちいかがですか?
中川龍太郎監督
ちょうど1年前にみんなと創った作品で、自分の実体験、故郷が都市開発でなくなったというところから着想して、一人、二人と仲間が増えていって創ることが出来た映画なので、本当に皆さんに観ていただけて嬉しいです。
試写会の時に監督なので粗ばかり見えて“あちゃー”と思っていたら、松本さんが隅っこの席でご覧になって泣いていて、その時に創って良かったなと思いました。
―――― 都市開発の話がありましたが、区画整理や都市開発により変わっていく風景と丁寧に向き合っていく人々が描かれています。監督が作品に込めた想いなどお聞かせください。
中川龍太郎監督
元々、川崎市の登戸で生まれ育ちました。
久々に行ってみたら、自分の家がどこにあったのか全く分からないくらい違う街に様変わりしていました。その事は自分の中で、小さい頃の思い出毎なくなってしまったような、ちょっと悲しい気持ちがして。
でも、それって自分だけじゃなくて日本中どこでも起きていることなんだろうなと思って、それを映画にしなくてはならないと思いました。
―――― 出演者の皆さんはどんな風に感じますか?
徳永えりさん
凄く映画にする意味があるものだなと感じました。
なくなってしまうものをただ映像にするだけではなく、意味を見出すのもそうですし、仕方がないと言ったら凄く悲しい話だと思うんです。変わっていく様が。
それをこういう素敵な形で残せたということは、いい終わり方じゃないですけど、気持ちがいい終わり方なのかなと観て思いました。
松本穂香さん
監督だけじゃなくて、そういう気持ちを感じている方は沢山いると思うので、なんか、銭湯もそうですけど、伸光湯さんは本当に先月閉店されてしまって。なんか映画ってずっと残っていくものだから、残していくというのはえりさんが言う通り、意味のあることだったんじゃないのかなと思います。
渡辺大知さん
自分は兵庫県の神戸市出身なのですが、バンドを当時からやっていまして、学生時代みんなでたむろしていたライブハウスがあったんですけど、つい去年なくなってしまい、マンションか何かに変わってしまいました。やっぱり思い出は沢山つまっていますし、そこに集まっていた人達がどこへ行くんだろうこれからって、そういう意味で寂しくはありました。
だけど、そのマンションの中でご家族が生活されたりして新しい良い思い出が育まれたらいいなと思いますし、僕らも僕らで生活は変わりますけど、違う場所を見つけて、居心地のいい場所を見つけているのだと思います。
その生活の変化を楽しんで、自分が生きていてワクワクする実感がある方が大事なことなのかな、今大事な場所があるかの方が大切だと思うので、自分も今は目の前にある好きな場所を増やしていきたいなと思います。
中川龍太郎監督が銭湯を選んだ理由。
―――― なぜ、中心が銭湯だったのでしょうか。
中川龍太郎監督
今の大知君の話とも繋がってくると思うのですが、”全くの他者と偶発的に出会う場所”としてライブハウスはあっただろうし、銭湯はまさにそういう場所で、自分自身も銭湯が好きでよく行くのですが、一番風呂に入ると必ずお爺ちゃんとかが話しかけてくれたりするんです。
人間の幸福度って仕事とか関係なく、全く知らない人と言葉を交わすとか、日々の豊かさと繋がっているような気がして、そういう空間が昔は映画館もそうだったろうし、銭湯は今残っている数少ない場所だと思うんです。ライブハウスもそうだなって。そういう意図を持って、今回銭湯をロケ地に選びました。
―――― 上映後なので、ネタバレありで自由にお話いただきたいのですが、思い出に残っているシーンや大変だったシーンはありますか?
松本穂香さん
大変だったシーンあります??
徳永えりさん
凄く印象に残っているのが、大変というか、すっぽんを食べる前のシーンって皆さん覚えていますかね?
最初に2人と小川あんちゃんがいて、その後私と忍成さんが登場するのですが、スゴイ時間かかりませんでした!!?
渡辺大知さん
ワンカットで撮っているので、通行している方がいたらやり直しになったり。
徳永えりさん
何回か分からないけど沢山撮って、その後に起こった事覚えてます??
あの、監督が「カット」とかけて、「良かったよ」とか声を掛けてくれるのが一般的なのですが、あまりにもいい撮り方が出来たのか、喜ばれて「最高だったよ!!」って監督がカメラの前に出てきちゃったんです。私たちはカットがかかる前だから芝居を続けているんですけど、急にカメラ前に出てきたので、そんな経験は初めてでした。
松本穂香さん
その時の動画が残っていて、後でお見せしますね!
みんな「えっ?」って顔になっています。
中川龍太郎監督
実は、あの後助監督に怒られたんです。台詞が終わっていなかったんですよね、ギリギリ。なので、色々と編集で。
徳永えりさん
私にとって物凄く印象に残っています。大変だったなというのと楽しかったなという思い出です。
渡辺大知、衝撃のすっぽん初体験!
中川龍太郎監督
すっぽんも大変でしたよね?
渡辺大知さん
狭い空間ですが、あのシーンは一番カット割りしているシーンでもありますよね。
すっぽんをあの時人生で初めて食べたんです。
徳永えりさん
しかも、すっぽんの中でも結構な…卵の酒漬け?
渡辺大知さん
酒爆弾みたいになっていたんです。
卵を噛むと「ブシュ―ッ」とウイスキーボンボンみたいな感じで。
中川龍太郎監督
本当はすっぽんの卵って美味しいんです。でも、あの季節がもうすっぽんは出産する季節じゃないという事で、それで焼酎漬けしかなかったんです。
渡辺大知さん
なんか、「本番まで食べないでくれ」とか、どんな感じか「臭いも嗅がないでくれ」とか言われて、本番でカメラが回ったらNGが出来ないじゃないですか。そこで食ったら、結構…。
バラエティーとかの罰ゲームみたいな感じのリアクションになってしまい。そのまま使われていますけど。その後に、「ウエッ、これスゲーな」みたいな言葉が出ちゃいましたね。
徳永えりさん
私は割とすっぽんらしいグロテスクな所を食べてくださいって言われました。肉感というよりは手とか甲羅の部分とか。
渡辺大知さん
印象深いというと、僕たちは商店街のシーンが多かったですけど、松本さんは長野の湖のシーンも多かったじゃないですか。そこのシーンにはいなかったので、聞いてみたいんですけど、どうでした?結構、寒かった?
松本穂香さん
そうですね。
早朝のスタンバイがAM3時半とかに支度して、おばあちゃんとのシーンを撮影して、スタッフさんがスゴイと思いました。朝のメチャメチャ寒い湖の中を照明さんがザブザブ入って、(私も)“寒いなんて言ってられないな”って。凄く気持ちがいいシーンでした。
湖に入っている時も、ずっと入っていると温かくなってくるというか、麻痺しているだけなんですけど。引きの画とか、一人取り残されているのですが、楽しかったです。
渡辺大知さん
空撮とかも多かったですよね!?
中川龍太郎監督
そうですね。先日大知君と飲んだ時も、「あれは何の視点なのかな?」って考えた時に、澪さんにとって亡くなったおばあちゃんの視点としてあの空撮もあったのかなっていう話をして、ねっ?
徳永えりさん
撮っている時は、監督はそういう意図では…ない??
中川龍太郎監督
そういう事ですよね。
徳永えりさん
大知君と飲んでいて気づいちゃってみたいな。
中川龍太郎監督
撮影の時は開放感が出るし、カッコいいし、みたいな。
中川監督、松本穂香にラブレターも徳永えりのツッコミにタジタジ!
―――― 今の色々なエピソードも踏まえて、皆さんには本作をもう一度ご覧いただければと思います!
松本穂香さんと監督は宣伝で、名古屋や大阪に行かれたり、銭湯でのイベントもありました。そんな監督から松本さんへの溢れる想いを手紙にしたためていただきました。
それを渡辺大知さんに…。
渡辺大知さん
監督が松本さんに手紙を用意されたと。「それは素敵ですね、楽しみですね」なんて話していたら、監督が「照れくさくて読めない」という事で、なぜか僕に代読をお願いされているんです。これ、その場にいない人からの手紙を代読したことはあります。いる人の書いた手紙を読むのは…
(渡辺さんが監督に促しますが…)
中川龍太郎監督
いや、これはね、本作『わたしは光をにぎっている』の大知君の役は僕の分身なんですね。だから、僕であり大知君として読んでいただけたら…
(渡辺大知さんから心を込めて監督から松本さんへの手紙を披露!!)
渡辺大知さん
これは何ですか?ラブレターですか??
中川龍太郎監督
でも、この映画の中で凄く思ったのは、澪さんと銀次の恋愛のような要素がどうなっていくのか非常にフワッとしているので、だからこそ大知君から読んでもらうといいのかなと、演出です!!!!読んでくださってありがとうございます。
松本穂香さん
ボニーテールのところが引っ掛かりましたけど、
中川龍太郎監督
本当に最高だった。スゴイんですよ。
松本穂香さん
監督らしい優しい素敵な言葉で伝えてくれて、この先もまた監督に映画を撮ってもらいたいなと思いました。
渡辺大知さん
続編のオファーの話がありましたけど。
松本穂香さん
さっきは、お団子屋さんの娘をやって欲しいとも言われて。
中川龍太郎監督
あと秀吉の奥さんの「おね」っているじゃないですか。「おね」の役とかも。そんな話もしていたんですよ。
徳永えりさん
もう全く「澪」とは全く別の、今はこの作品の話をしていたんですけど…
中川龍太郎監督
そうそう!
徳永えりさん
完全に松本穂香を使いたいというオファーの話になっていますね(笑)
中川龍太郎監督
汗かいてきちゃった(笑)
松本穂香「豊かにしてくれる映画」
―――― 最後に松本穂香さんと監督からメッセージをお願いします。

宮川澪 役の松本穂香さん
松本穂香さん
日々モヤモヤとか積み重なって疲れちゃっている人が多いと思うのですが、そういう人に優しく寄り添ってくれるまでは言えないかもしれないけど、豊かにしてくれる映画だと私は思っています。今、ちょうどこの映画が凄く観たいです。ちょっと疲れているので(笑)色んな方に薦めてくれたら嬉しいです。
中川龍太郎監督
今日は本当に観てくださってありがとうございます。
小さなこじんまりしたささやかな物語です。同時にこの時代だからこそ、観てもらいたい作品です。率直なご意見をいただいて、是非口コミを届けてください!
■予告編動画
11月15日(金)
新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
中川監督が「翔べない時代の魔女の宅急便」と語る本作を是非、劇場でご覧ください!
■出演キャスト
松本穂香
渡辺大知 徳永えり 吉村界人 忍成修吾/光石研/樫山文枝
■脚本・監督:中川龍太郎 『四月の永い夢』
■主題歌:カネコアヤノ「光の方へ」
■脚本:末木はるみ 佐近圭太郎 脚本協力:石井将 角屋拓海
■チーフプロデューサー:和田丈嗣
■プロデューサー:藤村駿 木ノ内輝
製作:WIT STUDIO 制作:Tokyo New Cinema
配給:ファントム・フィルム
©2019 WIT STUDIO / Tokyo New Cinema
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