隅田靖監督だからこそ描けた『子どもたちをよろしく』の世界!活弁シネマ倶楽部

隅田靖監督だからこそ描けた『子どもたちをよろしく』の世界!
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公開中の映画『子どもたちをよろしく』を手がけた隅田靖監督が、“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」にゲストとして登場。企画・統括プロデューサーである寺脇研氏や、共同企画者の前川喜平氏らとの企画の成り立ちや、“子どもたち”との撮影の裏話などを、MCの月永理絵の前で語っている。
オリンピック、カジノ、万博……世間が浮足立つなか、子どもを巡る事件が毎日のように報じられるが、しかし、彼らの世界に真摯に目が向けられる機会は少ない。いじめる者、いじめられる者、性的虐待を受け風俗産業に身を落とす少女。そんな“子ども”たちに、私たち“大人”は手を差し伸べることができるのだろうか。そもそも、私たちにこそ問題があるのではないのか。そういった問いを投げかける作品が、本作『子どもたちをよろしく』だ。MCの月永は本作の感想として、「とても力強く、観終わったあとに色々な思いを反芻したくなる映画だった」と、まず述べている。
寺脇氏と前川氏が参画したこの企画の始まりについて隅田監督は、「寺脇さんが映画をプロデュースされるのは、これが三作目です。その寺脇さんから、『デリヘル嬢を運んでいるドライバーの息子がいじめられている。そのいじめの張本人のお姉ちゃんが、実はデリヘル嬢だった……』という物語を持ちかけられました。子どものいじめなどの諸問題には関心があったので、そこから3カ月くらい図書館に行って調べたりしながら、脚本を書きました」と語っている。
本作でメインの“子どもたち”を演じるのは、Netflixオリジナル映画『愛なき森で叫べ』の鎌滝えりのほか、杉田雷麟、椿三期らの三人。この三人それぞれがハードな役どころだが、「彼らから戸惑いの声は上がりませんでしたか?」と月永が問うと、「それはありませんでしたね。そこはさすが寺脇さんで、最初にみんなを集めてお話をしていました。要は、そのあたりの覚悟を持って、この映画に臨んで欲しいのだと」そう隅田監督は振り返る。
通常のオーディションでは、台本から各キャストのセリフを抜き出した用紙を事前に数枚渡しておいて臨んでもらうものだが、本作の場合はあらかじめ台本を丸々渡していたらしい。どういった役なのかを、各俳優が自分たちなりに理解するためだ。これに、「(スタッフ、キャストに)最初から多くが共有されていたんですね」と月永は納得している様子だ。
本作は元々、“教育映画”を目指して製作されたものではないらしい。「子どもたちの現状や教育問題を伝えようというよりも、“この子たち”のお話が先にあったんですね?」と月永が問いかけると、「僕は育ちが『あぶない刑事』とか……東映系なんです。お話としては、この子どもたちが窮地に追い込まれて追い込まれて……『あぶない刑事』で言うなら、舘(ひろし)さんと(柴田)恭兵さんが力を合わせて戦って、逆転してカタルシスを生むということがある。それと脚本作りは同じです。本作の子どもたち三人が、いかに窮地に追い込まれていくか。物語の作り方としては変わらない」と隅田監督は答えている。本作のラストにはショッキングなシーンがあるが、これは寺脇氏との間で決めていたもので、揺るぎないものだったのだとも語っている。
そのほか、小規模な作品ならではの製作スタイルや、作品にも現場にも監督自身の経験が反映されていること、またタイトルの意味について「大人の人たちが、子どもたちのことを考えるきっかけになれば」と、本作について存分に隅田監督は語っている。
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映画『子どもたちをよろしく』作品情報
公式HP:http://kodomoyoroshiku.com/
監督:隅田靖
出演:鎌滝えり、杉田雷麟、椿三期、川瀬陽太、村上淳
あらすじ
東京にほど近い北関東のとある街。デリヘル嬢として働く優樹菜(鎌滝えり)は、実の母・妙子(有森也実)と義父・辰郎(村上淳)、そして、辰郎の連れ子・稔(杉田雷麟)の四人家族。辰郎は酒に酔うと、妙子と稔には暴力を、血の繋がらない優樹菜には性暴力を繰り返していた。優樹菜が働くデリヘル「ラブラブ48」で運転手をする貞夫(川瀬陽太)は、妻に逃げられ重度のギャンブル依存症。一人息子・洋一(椿三期)をほったらかし、帰宅するのはいつも深夜だ。洋一は暗く狭い部屋の中、帰ることのない母を待ち続けていた。同じ学校に通う中学二年生の稔と洋一は、元は仲が良かったが、洋一は稔たちのグループからいじめの標的にされていた。そんなある日、稔は家の中で、デリヘルの名刺を拾い……。
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