諏訪敦彦監督「ルポルタージュのような視点で日本を撮りたかった」

風の電話,諏訪敦彦監督

諏訪敦彦監督
「ルポルタージュのような視点で日本を撮りたかった」

今年1月24日より劇場公開され、現在のコロナ禍を受けて、先月4月24日より“クランクイン!ビデオ”と“Paravi”にてネット配信されている映画『風の電話』

本作を手がけた諏訪敦彦監督が、“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」に初登場。この収録は現状を鑑みてZoomで実施され、MCを務める映画評論家・森直人を相手に、本作が久しぶりの“純日本映画”であることをはじめ、その多くを語っている。

ベルリンで受け取ったメッセージ

諏訪監督と言えば、このコロナ禍でいち早く動き出した映画人の一人だ。いま大きな動きを見せている、「Save The Cinema」の呼びかけ人の一人でもある。

この自身の動きについて諏訪監督は、本作『風の電話』が「国際審査員特別賞」を受賞したベルリン映画祭から、ベルリンにある映画館の写真とともに「take care of each other」というメッセージを受け取ったのだという。そのときに、かねてより感じていた“ミニシアターの危機”を改めて痛感。「何かしなければ」という思いに繋がり、行動を起こすに至ったのだという。

“天国に繋がる電話”として人々に広まり、現在も多くの者の来訪を受け入れている“風の電話”をモチーフにした本作。この“風の電話”とは、2011年に、岩手県大槌町在住のガーデンデザイナー・佐々木格さんが自宅の庭に設置したもの。物語では、大槌町で東日本大震災に遭い家族を失った高校生のハル(モトーラ世理奈)が、現在身を寄せている広島県の叔母の家から故郷を目指し、やがて“風の電話”たどり着く様子が描かれる。そんなロードムービーだ。西島秀俊、西田敏行、三浦友和といった日本を代表する名優たちが、主人公のハルを演じる新進女優・モトーラ世理奈の脇を固め、諏訪監督は現場の空気感までも切り取り、観た者は、まるでハルと共に旅をしたような感覚に包まれる。

1999年公開『M/OTHER』以来

1999年公開の諏訪監督作『M/OTHER』のときに、監督へのインタビューをしたのだという森。20年ぶりに対話をする機会がオンラインというかたちになってしまったが、彼としては感慨深いものがあるようだ。そんな森は、今作『風の電話』の劇場パンフレットに寄稿もしている。本作について彼は、「この困難な状況におかれている我々が、今考えるべきことのヒントや、“問い直し”の要素がたくさん詰まっている作品」だと語り、「今この時期に『風の電話』が新作として観られるというのはすごく重要」と続ける。

本作は諏訪監督にとって、久しぶりの純粋な日本映画。このオファーを受けたときの諏訪監督の心境は、「興味深い話だが、どうやって映画にすればいいのだろう?」というものだったよう。「でもこの、“どうやって映画にすればいいのだろう?”と考えていること自体が、自分の興味を惹いた」とも。

『ルート1/USA』『冬の旅』から着想

本作のロードムービーのアイデアについて諏訪監督は、「プロットの時点でまず浮かんだのが、ロバート・クレイマーの『ルート1/USA』(1989)です。あの作品のように日本を撮れないかと考えました。あと、アニエス・ヴァルダの『冬の旅』(1985)です。これらはルポルタージュに近いんですよね。なので『風の電話』は、このルポルタージュのような視点で、日本を縦断していく。そこから見えてくる日本を撮りたいというイメージがあった」と語り、「そのカメラと共に移動していくのが、モトーラ世理奈演じるハルであって。彼女のドラマではなく、彼女と一緒に日本を見ていくもの」と続けている。

そのほか、諏訪監督の「自分は純粋な日本人だが、映画人としては日本人ではなかった」という興味深い発言や、本作とモトーラ世理奈の関係性、諏訪監督自身とモトーラ世理奈の関係性にも話題は及ぶ。そして、主人公が17歳の女子高生である必然性や、もちろん、ベテラン俳優陣についても語っている。

そして諏訪監督は最後に、「映画は観客のもの。観た人が何を考えるのかが大切」と述べている。コロナ禍を生きる“私と他者の関係性”、そして“私たちとミニシアターの関係性”を考えるのにも、非常に重要な収録内容となっている。

活弁シネマ倶楽部

活弁シネマ倶楽部 公式HP
活弁シネマ倶楽部 公式ツイッター:@katsuben_cinema

映画『風の電話』

公式HP:http://www.kazenodenwa.com/

監督:諏訪敦彦
出演:モトーラ世理奈、西島秀俊、西田敏行、三浦友和、渡辺真起子

あらすじ
17歳の高校生ハル(モトーラ世理奈)は、東日本大震災で家族を失い、広島に住む伯母、広子(渡辺真起子)の家に身を寄せている。心に深い傷を抱えながらも、常に寄り添ってくれる広子のおかげで、日常を過ごすことができたハルだったが、ある日、学校から帰ると広子が部屋で倒れていた。自分の周りの人が全ていなくなる不安に駆られたハルは、あの日以来、一度も帰っていない故郷の大槌町へ向かう。広島から岩手までの長い旅の途中、彼女の目にはどんな景色が映っていくのだろうかーー。憔悴して道端に倒れていたところを助けてくれた公平(三浦友和)、今も福島に暮らし被災した時の話を聞かせてくれた今田(西田敏行)。様々な人と出会い、食事をふるまわれ、抱きしめられ、「生きろ」と励まされるハル。道中で出会った福島の元原発作業員の森尾(西島秀俊)と共に旅は続いていき……。そして、ハルは導かれるように、故郷にある“風の電話”へと歩みを進める。家族と「もう一度、話したい」その想いを胸にーー。

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