永久保存版!2020年最新インド映画情報

永久保存版!
2020年最新インド映画情報

2017年6月の映画ログおすすめ映画『きっと、うまくいく』をご紹介いただくべく、インド映画研究の第一人者でアジア映画研究者の松岡環さんにインタビューをしたのはちょうど2017年の今頃。当時、松岡さんにいち早く教えていただいた『バーフバリ』は翌年大ヒットを記録し、応援上映の様子はテレビのワイドショーでも度々紹介されるなど、本場インドの上映スタイルが日本にも広く知られることになりました。

あれから3年。新型コロナウィルス拡大の影響に苦しむ映画業界ですが、そんな今こそ歌って踊る楽しいインド映画をスクリーンで観たい!ハリウッドを凌ぐ制作本数を誇る多種多様なインド映画をもっと沢山観たい!我々映画ログプラス編集部のインド映画愛に再び松岡さんが応えてくださいました!

それでは早速、2020年最新インド映画情報をご覧ください!

インドを代表する名俳優イルファーン・カーンを偲んで

イルファーン・カーンは日本でも、『めぐり逢わせのお弁当』(2013)や『ヒンディー・ミディアム』(2017)の主演男優として、また、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(2012)などハリウッド映画への出演で知られています。彼が亡くなったのは新型コロナウィルスによる全インド・ロックダウンの最中、4月29日でした。まだ53歳という若さで、神経内分泌腫瘍という非常にまれなガンによるものでした。

イルファーン・カーンは1967年1月7日、観光地として知られるジャイプルに生まれました。デリーの国立演劇学校(NSD)で学んだあとムンバイに移り、ミーラー・ナーイル監督の『サラーム・ボンベイ!』(1988)で映画俳優としてデビューします。主人公の路上生活の少年に依頼され、母宛の手紙を書く露天の代書屋という小さな役でした。その後、アート系作品を中心に、典型的なボリウッド映画(娯楽要素たっぷりのヒンディー語映画を、「ボンベイ(ムンバイの旧名)」+「ハリウッド」でこう呼びます)のコメディ作品やテレビドラマにも出演し、2000年代に入ると主演作も増えて、演技力のある俳優として評価されるようになりました。

その頃からハリウッド映画のオファーも増え、『マイティ・ハート』(2007)、『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)、『アメイジング・スパイダーマン』(2012)、『ジュラシック・ワールド』(2015)などに出演、国際的な俳優として知られるようになっていきます。また、NHKで放送された「東京裁判 TOKYO TRIAL」(2016)で、パール判事を演じたこともありました。

このように順調にキャリアを築いていた最中の2018年に体調を崩した彼は、神経内分泌腫瘍というガンに冒されていることが判明し、3月からイギリスでの治療に専念します。回復後2019年2月に帰国、『Angrezi Medium(英語ミディアム)』の撮影を続けて完成させたのですが、この作品は本年3月13日に公開されたものの、ロックダウンによって映画館が閉鎖され、上映がストップしてしまいました。そして4月末、彼が体調を崩して病院に運ばれた、というニュースが流れてすぐ、訃報がもたらされたのです。

イルファーン・カーンの主演作では、前述した『めぐり逢わせのお弁当』と『ヒンディー・ミディアム』のほか、『Pikoo(ピクー)』(2015)、『Madaari(手品師)』(2016)などもオススメです。この2作は以前Netflixで見られたのですが、残念ながら今は見つかりません。遺作となった『Angrezi Medium』もぜひ見てみたいので、日本の配給会社が買って下さることを願っています。主演でも、助演でも、映画をかっちりと引き締めてくれる素晴らしい俳優でした。

アフター『バーフバリ』多様なインド映画が日本で公開

日本での『バーフバリ』は、特に2作目の『バーフバリ 王の凱旋』(2017)が2018年に大ヒットし、『バーフバリ 伝説誕生』(2015)と共に新たなインド映画ファンを多数誕生させました。

『バーフバリ』ブームを受けて多くのインド映画が公開されるようになり、2018年と2019年は、いずれも公開本数が2桁となりました。しかしながら、ヒットと言えるのは『パッドマン 5億人の女性を救った男』(2018)と『バジュランギおじさんと、小さな迷子』(2015)ぐらいで、他作品はヒットまでには至っていないようです。

バジュランギおじさんと、小さな迷子

『バジュランギおじさんと、小さな迷子』(2015)

それでも、バラエティに富むインド映画が日本に紹介されるようになってきたのは大きな収穫です。インドの社会問題と取り組んだ作品――『ガンジスに還る』(2016)、『あなたの名前を呼べたなら』(2018)、『シークレット・スーパースター』(2017)、『ガリーボーイ』(2019)等は観客を引きつけましたし、現在のインド映画で一番人気のジャンル、サスペンス映画の傑作である『盲目のメロディー』(2018)が公開されたり、歴史映画『パドマーワト 女神の誕生』(2018)や『マニカルニカ ジャーンシーの女王』(2019)も公開されるなど、様々なインド映画が見られる時代になってきています。

画像,盲目のメロディ

盲目のメロディー』(2018)

今年ヒットが期待されていたのは、何と言っても『バーフバリ』のプラバースが主演する『サーホー』(2019)でしたが、残念ながら緊急事態宣言の影響で上映が途中で打ち切られるという不運に見舞われました。『サーホー』は、凝ったストーリー、破格のアクション等々非常に見応えのある作品なので、今後公開される『WAR ウォー!!』(2019)や『きっと、またあえる』(2019)と共に、ぜひスクリーンに返り咲いてほしいものです。

サーホー

サーホー』(2019)

衛星テレビ主流のインドで1番人気の配信Hotstarとは?

インドの衛星テレビのチャンネルは現在約700あり、映画専門チャンネルはヒンディー語のものだけでも20ぐらいあるので、全体では100に近くなるのではと思います。ですが、近年は配信もよく利用されています。インドでNetflix、AmazonPrimeVideoを抑えて人気があるのはHotstarで、Star TV系列です。このように衛星テレビ局が母体となっている配信は多く、JioCinema、SonyLIV、Zee5等が存在します。

関連記事:多様性に育まれたインド文化の魅力(松岡環)

インドの配信コンテンツは、映画、ドラマのほか、クリケットの試合を含むスポーツ番組が人気です。映画はインド映画だけでなく、ハリウッド映画を含む洋画も相当数含まれています。Hotstarはディズニーと提携しているため、ハリウッド映画の大作が人気コンテンツの一つです。

利用料はまちまちですが、大手3社のスタンダードな月額利用料を一覧にしておきます。いずれも、同時2配信までOKです。(1ルピー=1.5円で計算)

  • Hotstar:Rs. 199  (299円)
  • Netflix:Rs. 649  (975円)
  • Amazon Prime Video:Rs. 129   (194円)

シネコンの映画料金が、デリーなら400ルピー台、ムンバイなら200ルピー台、その他の地域だと100ルピー台ぐらいなので、それを考えるとお得です。ネトフリはもっとお安いプランもあり、1配信でケータイならRs. 199、パソコンならRs. 499というプランもあります。ネトフリが比較的高く、強気である理由は、自社製作のオリジナル映画やドラマが結構あって、他では見られないものが見られるからではないかと思います。

現在インドで上映される映画は、すべて政府の検定を受けることが義務づけられ、セックスは特に厳しく取り締まられていますが、配信は個人で見るものだから、ということで、検定は課されていません。そのためちょっと過激なセックスシーンが、ネトフリ・オリジナルではインド映画にも登場したりしています。

残念なのは、インドのネトフリのラインアップに入っているからといって、それが日本でも見られるとは限らないことです。日本未公開の新作インド映画をもっと見たいのですが、ネトフリ・オリジナル以外はなかなか日本のラインアップには入ってきません。Amazonのプライム・ビデオは日本でソフト化されたインド映画がほとんどで、未公開作品でアップされているものは、字幕をインド側が自動翻訳ソフトで付けたらしく、目を覆いたくなる字幕なのが残念です。

配信で見られるオススメ作品を、2、3挙げておきましょう。

Netflix
『バレエ 未来への扉』(2020/ヒンディー語)、『慕情のアンソロジー』(2018/ヒンディー語)、『尋問』(2015/タミル語)

Amazonプライム・ビデオ
『フォトグラフ
あなたが私を見つけた日』(2019/ヒンディー語)

『ピザ!』(2015/タミル語)

7月公開『WAR ウォー!!』主演リティク・ローシャンとタイガー・シュロフのブレイクに期待

7月17日から公開される『WAR ウォー!!』は、2019年のインド映画興収(興行収入)トップに輝いた作品です。国内興収でも、また海外の興収を合わせた世界興収でも、プラバース主演作『サーホー』を抑えてトップとなりました。

『WAR ウォー!!』日本版ポスター&予告編解禁!

その理由としては、①アクションとダンスではインド映画界で一、二を争う男優、リティク・ローシャンタイガー・シュロフのW主演作である、②欧米映画ばりのよく練られた脚本による、上質サスペンス映画である、③ハリウッド映画を学び尽くした高度なアクションシーンがいくつも登場する、この3点を挙げることができます。ソング&ダンスシーンが2カ所しかないのが残念ですが、2人が超絶のダンスステップで競演する歌「ジャイ・ジャイ・シヴ・シャンカル(シヴァ神万歳)」(再生回数約2億回)は、何回見ても飽きません。2人とも、これまで日本ではソフトや配信作品中心の紹介だったので、本作が日本での正式ブレイクとなって、どっとファンが増えるのでは、と思います。

今年はあと、『WAR ウォー!!』とはテイストがまったく違うハートウォーミングなヒット作『きっと、またあえる』も8月21日から公開されます。『ダンガル きっと、つよくなる』(2016)のニテーシュ・ティワーリー監督の作品で、大学時代と彼らが中年になってからとが交互に描かれる、ユーモアありガッツあり感動ありの作品です。『PK/ピーケイ』(2014)に出ていたスシャント・シン・ラージプートと、『サーホー』のヒロインでもあるシュラッダー・カプールが共演していますので、こちらもお見逃しなく。情勢が落ち着けば、他のインド映画公開情報も聞こえてくるかも知れませんので、楽しみにしていて下さい。

2020.6 松岡 環(アジア映画研究者)

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