
舞台挨拶には主演の小林稔侍さん、壇蜜さん、高島礼子さん、黒土三男監督が登壇。俳優生活56年目にして初めての映画初主演を果たした小林稔侍さんが、ちょうど56年前の今頃の時期に受けた「東映ニューフェイス」でのオーディションでの想い出を感慨深く語り「56年目の夢に出会いました」と、満員の客席を前に少し涙ぐみながら語った。
共演した壇蜜さんは、稔侍さんから受けた役作りのアドバイスが「お茶の入れ方だった」など、撮影当時の裏話も披露。主人公・勇作(小林稔侍)と心を通わす少年・政美役を演じた、豊田市在住の荒井陽太君から小林稔侍さんへのお手紙が届くサプライズや、舞台となった豊田市の太田稔彦市長と豊田市PR大使から激励の花束を渡される場面も。
約20分にわたる舞台挨拶に観客の皆さまが聴き入っておりました。
■ 最初に一言ご挨拶をお願いします。
小林:皆様のおかげで、夢のような出発を迎える事が出来ました。ありがとうございます。
壇蜜:東京での出発の日に、皆さん来て頂けて本当に嬉しいです。
高島:「人の為に何か出来る」ということが、こんなに幸せなことかという作品に出会えて、嬉しく思ってます。
監督:東京でお客様が入らなければ、ダメだと思ってました。今日は朝早くから劇場に来て、上映中に後ろからこっそり覗いて見
たのですが、ちょうど少年が卵を頬張るところで、泣いてしまいました。ありがとうございます。
■ 俳優としての人生の始まりは、第10 期東映ニューフェイスですね。その東映の劇場での映画初主演の初日、その気持ちはいかがでしょうか?
小林:昭和36 年、ちょうど56 年前の今頃でございます。最終審査のデスクがありまして。社長室に入りますと、田舎者ですから何しろ緊張しまして、で社長が履歴書を見ながら「君は今年高校卒業なのに、どうして大学を受けないのかね」と聞かれたことだけは覚えています。
今と時代は違いますからね。映画っていうのは夢の世界ですから、最終審査に残れたのが夢のようでした。なので、無になって精一杯やったのですが、でも、それきり審査の部屋から放り出されちゃって。今思うと、そうやって無で純真なところが良かったのかなと。そして、今日同じ時期にこういう場所で皆さんとお会いできるのが、56 年目にして夢のようです。
■ 今回、小林さんは壇蜜さんのお父さん役を演じられましたね。どんな感じのお父さんでしたか?
壇蜜:とっても寡黙なんです。勇作お父さんも、カメラが回ってない時も。ずっと寡黙で。そして、時々おしゃべりして。でも、時々フット笑う瞬間がとても楽しくて。お父さんと娘二人きりで生きてくると、きっとこういう関係になるんだろうな、というのがすごく感じられました。
私は父と離れて暮らしてかなりの年月が経っていて、母と2人で暮らしていた時期が長かったので、父と二人っていうのはきっとこういう感じなんだな、って。お仕事だったんですが、心地のよい時間を過ごすことができました。
■ 何か小林さんからアドバイスはもらいましたか?
壇蜜:お茶の入れ方を指導してもらいました!
どういう風にお茶を入れたら、父と娘の「慣れてる」感じっぽいかを、教えてもらいました。
例えば、急須からお茶を入れるときに、最後まで急須を振り切るっていう、、笑
お客さんには、絶対しないじゃないですか?でも、家族なら抽出したお茶の葉の、最後のひとしずくまで湯呑みに入れる。「それが、いいよね」っていうのを監督と稔侍さんと一緒に侃侃諤諤しました。これは、お客さんには絶対しないこと。その姿が「二人で暮らしてる」ってことなのかなと、思いました。
■ 次はどんな役で小林さんと共演したいですか?
壇蜜:実は今回の映画で2度目の共演なんです。
前回は、私が元旦那を刺しちゃって、説得されて自首するっていう関係性でした。
稔侍さんに、説得していただいた方なんです笑
なので、今回はお父さん役での共演したが、次はまた、なにかの形でまた説得されたいな!と思いました。
高島:子分!稔侍さんは兄貴っぽいので、その下で、何か言われたら「はい!」っていう感じの子分になりたいです!・笑
■ 役のモデルがありきで、作品のキャスティングが始まったのでしょうか?
監督:いえ、最初から主演は小林さんと決めていました。そして、高島さんにもお願いしたいと思っていました。あと、壇蜜さんに関しては実はこれまでの仕事はほとんど見てないんです。初めて見たのは久米宏さんと「本のことを話す」という番組がありまして。
そのとき、すごく壇蜜さんに惹かれたんです。「すごく勉強してるなあ。自分の身の丈でしかものを言わない人だな。」と。気取ったことは言わないし、すごく誠実な人だなと思っていて、今回はぜひお願いしたいと思いました。高島さんには、娘役は無理ですからね・笑
■ 本作の舞台である豊田市から、太田稔彦市長と豊田PR 大使の方がいらっしゃいました!一言お願いします。
市長:豊田市は豊田自動車がある、製造業の街です。しかし、もう一つの顔がこの映画の舞台ともなっている、自然があふれた、日本の原風景を大事にする、美しい街でもあります。ぜひ、お越しください!あと実は、私もこの映画に少し出ています。太田を探せ!って気持ちでぜひもう一度ご覧ください」
■ 最後にご挨拶お願いします。
監督:黒澤さんが亡くなられると「後を頼むぞ」とおっしゃったそうです。昨今、日本映画は安っぽい映画が増えているように思いますが、僕は、黒澤監督の言葉を肝に命じて良い映画を作るだけです。今回、これだけの良い俳優さんに恵まれました。これからもいい映画を作って残さないといけないと思ってます。
小林:改めて、今日、こうやって足を運んでいただいて、皆さん、監督、共演の皆さん、豊田市の皆さん、心からお礼を申し上げたいと思います。56年目の夢に出会いました。ありがとうございます。と話す小林稔侍さんでした。
映画『星めぐりの町』公開初日舞台挨拶
■ 日時:1 月27 日(水) 上映後 登壇舞台挨拶 11:35—12:00 <本編上映:9:30->
■ 会場:丸の内TOEI(東京都中央区銀座3-2-17)
■ 登壇者:小林稔侍(76歳)、壇蜜(37歳)、高島礼子(53歳)、黒土三男監督(70歳)
家族を失った少年と、実直に生きる豆腐屋との運命の出会い。
心の再生を通じて、生きていくことの大切さを教えてくれる物語。
【作品紹介】
妻を早くに亡くし、一人娘の志保と二人暮らしをする主人公の島田勇作。京都で豆腐作りの修行を積んだ勇作は、毎朝じっくりと手間と時間をかけて美味しい豆腐を作り、町の主婦や料理屋に届ける生活を続けていた。そんなある日、勇作の元に、警察官に付き添われ、東日本大震災で津波により家族全員を一瞬で失った少年・政美がやって来る。
亡き妻の遠縁にあたるという政美。突然の不幸により心に傷を抱える政美を、勇作はただ静かに見守り続ける。自然に根差した自給自足の勇作との暮らしの中で、薄皮が一枚、また一枚とはがれるように、少しずつ心を再生させていく政美。しかし勇作がひとりで配達に出ている最中、町が大きな揺れに襲われ、一人で留守番をしていた政美は震災の恐怖がよみがえり、姿を消してしまう…。
■ 予告編
■ 出演
小林稔侍
壇蜜
荒井陽太
神戸浩六
平直政
平田満
高島礼子
■ 脚本・監督
黒土三男『蝉しぐれ』
■ 音楽
羽岡佳
■ エグゼクティブプロデュサー
岩城レイ子
■ プロデュサー
中尾幸男
■ 製作
豊田市・映画「星めぐりの町」実行委員会
■ 配給・宣伝
ファントム・フィルム
■ 制作プロダクション
エース・プロダクション/ケイセブン
■ 宣伝協力
プリマステラ
■ コピーライト
(c)2018 豊田市・映画「星めぐりの町」実行委員会
上映時間1時間48分 カラー ビスタサイズ 5.1ch
■ 公開情報
2018年1月27日(土)より丸の内TOEITOEI 他、全国公開
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・よかったです。
しみじみとしたこの感じ、好きです。
ものづくりの原点と、仕事へのこだわり、人への優しさ、しみ入りました。
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