
藤井道人監督&醍醐虎汰朗がオンラインでファンと交流!
上映後だから明かせる裏話満載!
9月15日(水)、全国劇場公開中の映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』のオンライン・ティーチインイベントが開催され、藤井道人監督と笹川誠役の醍醐虎汰朗(だいご こたろう)さんが参加しました。
本作は、清原果耶さん演じる迷える少女・つばめが桃井かおりさん演じる星ばあとの不思議な出会いを通じて成長していく物語。藤井監督とは『デイアンドナイト』に続くタッグとなった清原さんが初主演とは思えない圧倒的な存在感を放っています。トークイベントには、『天気の子』で主人公・森嶋帆高役の声優を務め、ドラマや映画への出演も続く大注目の醍醐さんが藤井監督と本作の撮影裏話や、もう一度観て欲しいお気に入りのシーンなど、参加者からの質問にたっぷりと答えてくれました。
藤井監督がクラゲ、醍醐さんが夜空、それぞれ素敵な背景で登場したお二人。まずは、司会の奥浜レイラさんからの質問でティーチインがスタート!
―――― 醍醐さんのキャスティングが決定したオーディションについて振り返ってください。
藤井道人監督
自己紹介で「醍醐虎汰朗です。獲りにきました。よろしくお願いします」って、生意気そうなガキが来たなって(笑)。でも、僕はそういうの大好きで。一緒に闘ってくれる人だなと思えたし、お芝居を見たらすごく良くて選びました。
醍醐虎汰朗さん
監督にそれを言われて、“うわぁ、そんなこと言ってたんだぁ”って思うんですけど、「獲りにきました」って言ったんだぁって。でも、それを言ったからこそこの映画に出演出来たということで、言って良かったと思います(笑)
―――― マコトの役作りで苦労した点は?
醍醐虎汰朗さん
年齢が中学生の設定なので、あまりハキハキしゃべらない感じ。監督と話し合いをして、リアルなものを僕もやりたいし、監督も求めてくれていたので、とことん本当のリアルだったらこういう間だよなって考えながら創っていった気がします。
藤井道人監督
僕自身が14歳のつばめを100%心と体で理解することが出来なくて、マコトは理解出来たから醍醐君に「マコトは俺だから」と言って、「14歳だったらそんなに女の子と喋れないじゃん」って言って、それくらいのディレクションで醍醐君が「やってみていいですか?」と言ってくれて、醍醐君も芝居が大好きだから色々なアイディアを出し合いながら、もう一回やってみようって言いながらいっぱいやったことを覚えています。
(さらに、マコトの衣装やスケボーに話題が及んだのち)
―――― 暑い季節の撮影は大変でしたか?
醍醐虎汰朗さん
しんどかった思い出はこの作品ではないかもしれないです。ずっと楽しいまま遊びに行っていたら終わっちゃったみたいな感じでした。楽しかったです!
(藤井監督が終始優しい笑顔で聴いている姿も印象的!!)
―――― 作品をご覧になった方からファミレスのシーンが印象的だったという声が多数挙がっています。
藤井道人監督
「ワンカットで行くからね」って。カメラがずっとトラックインしてくるんですけど、「まず自由にやってごらん」というところから何回も引きのカットを撮ったんですけど、清原さんがつばめとして全部に反応してくれるんです。それによって醍醐君もどんどん変わっていって、僕と醍醐君が二人でコソコソ喋りながら「どうする?」みたいな。
ファミレスのラストカットでナプキンをとる芝居も「このタイミングでナプキンを渡してください」とかは一切言っていなくて、純粋につばめをみた笹川マコトが反応した、凄く素敵なシーンでした。
―――― 長回しのシーンということで、緊張しましたか?
醍醐虎汰朗さん
緊張…どうだろう。
清原さんが何をやっても返してくれる方なので、自分が考えてきたプランがあって、それをまるまる捨てていい相手、そういう人ってあまり多くないから、緊張というよりあの場の空気感を凄く楽しみました。
長回しをしてくれる機会もそんなにありませんし、あの瞬間はお芝居するのがたまらない時間でした。
藤井道人監督
今、思い出したんですけど、「何でお前俺の祖母ちゃんと知り合いなんだよ?」の時に、清原さんが今までと違うお芝居をしたんです。外を見て空を見て感情がグッとなって、「なんで?」って言って泣いちゃう芝居をあのテイクでバーンとやってきて、それでマジで醍醐君がオロオロするっていう。いい芝居が撮れたなぁって嬉しかったです。
醍醐虎汰朗さん
(笑)
(公開後で作品を観たあとだから話せるトークが繰り広げられ、いよいよ参加者の方々からの質問コーナーへ!!)
―――― 監督が創る映画は人のヒリヒリする場面を丁寧に描きながら、最後には人の温かさに触れる作品が多いと感じています。監督ご自身も人やご縁を大切にされていると思いますが、そのきっかけがあれば教えてください。
藤井道人監督
生まれ持って特別な才能が一個もないんです。
真面目に物事をやる、真面目に努力する、友達を大事にする。それ以外のことは秀でた才能もないし、一所懸命にやっていく中で映画を創らせてもらっている。
だから、人を大事に、家族を大事に、仲間を大事にするというのは、人間を描くおおもとにはなっていると思います。
―――― すごく雰囲気が良くて、『新聞記者』や『デイアンドナイト』のヒリヒリした感じが全くないんですけど、この映画の雰囲気を創るために監督が意識したことはありますか?
藤井道人監督
今回はオリジナルではなく原作作品。野中さんが生み出した世界に、自分が生きてきた32年間をどうシンクロできるかは凄く意識しました。
昔からお父さんに美術館に連れていってもらった記憶があったり、あの時みた絵画の風景とかを、自分がお世話になった人たちに照らし合わせて、先生とかお父さんの役とかにそういう自分の人生を照らし合わせて、ドストレートに描く。伏線お祭りではなく。今、自分が世の中に伝えたい純度はこの作品なんだということを思い切りやる。
中心には人間を描くことがあり、それがホラーでも、サスペンスでも、ラブストーリーでも変わらず出来たらいいなと思っています。
―――― お気に入りのシーンは?
醍醐虎汰朗さん
健太郎君がバイクで倒れちゃう雨降らしのシーンです。
すごい量の雨を降らせて撮っていて、道路がビッチャビチャになる中を歩いたりして。バイクが倒れるシーンも、目の前で倒れたりして。日常ではあるんですけど、非日常感というか、あの空間はたまらなかった。お気に入りのシーンというか、お気に入りの時間でした。
藤井道人監督
雨にも打たれて「楽しいね」って言ってたのを思い出しました!
醍醐虎汰朗さん
(笑)
スゴイ楽しかったです。
藤井道人監督
ファミレスも大好きですし、クラゲの水族館です。あれがなかったらシンプルな話がさらにシンプルに、残らないものになってしまったかなって。ワガママを言って、プロデューサーを泣かせるくらいの勢いで連れていってもらいました。
―――― 他の水族館ではダメだった理由は?
藤井道人監督
結局、何を表現するか。クラゲがただ泳いでいればいいんじゃなくて、クラゲが自由に泳いでいるのもまた水槽の中だという表現がしたかったんです。水槽自体が地球のように丸いものが良かったんです。ロケ地を探してくれる制作部の方がたまたま山形県出身で「地元にあります」と。プロデューサーはそんなとこまで行けないって言ったんですけど、無理矢理行きました。
醍醐虎汰朗さん
あのシーン好きです。僕も実際に行ったんですけど、こんな、こんなに大きい水槽の中にクラゲがいっぱい入っていて、是非一度観に行って欲しいです!
―――― 絵画と監督が仰っていましたが、絵本みたいな世界観で雑居ビルの屋上のシーンはCGですか?
藤井道人監督
CGです。
醍醐虎汰朗さん
スゴイですよね。最初観た時にCGとは気付かなくて、本当にビックリしました。細かいところまで綺麗で素敵な画だなって。
―――― そして、糸電話のシーンも感動的でした。あのシーンに込められた想いは?
藤井道人監督
あの糸電話は最後バックショットで終わるのですが、あの糸電話は存在してなくて、バックショットになると糸が消えているんです。何であの糸がたるんでいるかは、彼女は糸電話をやったことがないんです。
ピンとはる選択肢もあるんですけど、想いとしては14歳の子が間違えることって沢山あると思うんです。糸電話がたるんでいようが、引っ張っていようが。その差というのを彼女にしか見えなかった糸電話として表現している。
ただ、想いはあるけど、色んな人の色んな見方があるので面白いなって思っています。
―――― 星ばあと出会いつばめが変わり、成長していく物語だと感じました。お二人にとって考え方が変わった存在がいたら教えてください。
藤井道人監督
何回かのきっかけがあるんです。自分の一番大きいのは大学の同級生の山田久人。僕が所属しているBABEL LABELという制作会社の社長です。彼がいるから会社もつぶれずに大きくなり、彼のおかげです。凄く感謝しています。
醍醐虎汰朗さん
今のマネージャーさんと出会って、礼儀も何も出来なかったので、全部一から教えてもらいました。
―――― もう一度観たいと思っているのですが、2回目観るならどこに注目ですか?
醍醐虎汰朗さん
ファミレスのシーンで、一回目に観てない方を観て欲しいです。
僕の方を観ていたら清原さんを観てほしくて、清原さんを観ていたら僕の方を観て欲しいです。細かいものがつまったシーンなので、二回目も楽しめると思います。
藤井道人監督
二つあります。
映画は色んな見方があるし、色んな解釈が出来る。
もし、伊藤健太郎君演じる亨が星ばあと会っていたら、という目線でみるとこの映画はまたちょっと違った見方が出来るんじゃないかなと。それは創っている時に考えて撮っていました。なぜバースデーカードが…とか、なぜ骨折を…とか。色んなことを大人というか見守るという目線でこの映画を切り取るとまた違うのかなって。
もう一つは最後のカットです。
彼女がどんな絵をかいたのか、あの尺だけでは伝わりきらないので最後の絵だけでもまた観て欲しいです。
―――― 映画を観て家族とか人の繋がりの大切さ温かさに気付きました。社会人1年目で独り暮らしの淋しさに慣れなくて、乗り越えるコツや考えがあれば教えてください。
醍醐虎汰朗さん
最近はアロマキャンドルを買いました(笑)
好きな音楽を聴きながら、趣味の時間に没頭する。好きなことに使っている時間には寂しさは起きにくいかな。コロナで中々人に会えないですけど、ビデオ通話とか、少ない人数で会うとか、身の回りの人とコミュニケーションを取ることが改めて大事だなって思っています。
藤井道人監督
おじさんになってくると、一人が楽しくて(笑)
毎日50人くらいの映画のチームの人たちといるから、一人の時間が大好物。一人の時は外に出ます。公園、美術館、バーでも行ってみちゃったり。そこで出会える新しい人々、色んな人々の生活が見えるから、どこへでも一人で行きます。
―――― 最後にお二人からメッセージをお願いします!
藤井道人監督
短い時間ですが、有難うございました。映画の公開はまだまだ続きます。映画はアナログに届けたいので、平穏が戻ったら舞台挨拶等で皆様の住む街にこの映画を届けに行きたいと思っています。引き続き応援お願いします!
醍醐虎汰朗さん
沢山の質問をくださって、幸せな気持ちになりました。
この作品はファンタジーだけど日常に近いもので、優しい空間にいることが出来ると思います。温かいお話なので心が息詰まったら是非観てくれたら嬉しいです。有難うございました!
キャスト
清原果耶
伊藤健太郎 水野美紀 山中 崇 醍醐虎汰朗 坂井真紀 吉岡秀隆
桃井かおり
映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』作品情報
脚本・監督:藤井道人
主題歌:清原果耶「今とあの頃の僕ら」(カラフルレコーズ/ビクター)
作詞・作曲・プロデュース:Cocco
原作: 野中ともそ「宇宙でいちばんあかるい屋根」(光文社文庫刊)
配給: KADOKAWA © 2020『宇宙でいちばんあかるい屋根』製作委員会
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