4月26日(木)東京都内にて6月8日(金)公開の映画『Vision』完成報告会見が行われました。会場には多くの報道陣やファンがつめかけ、映画のロケ地である奈良吉野の森をイメージした舞台上に、主演の永瀬正敏さんほか、夏木マリさん、岩田剛典さん、美波さん、そして世界中で高い評価を受ける河瀨直美監督が登場しました。
本作品は、幻の薬草“Vision”を探し求めるフランスの女性エッセイスト・ジャンヌをジュリエット・ビノシュさん、吉野の山間で生活をする山守・智を永瀬正敏さんが演じます。奈良・吉野の山深い森を訪れジャンヌは、1000年に1度、姿を見せるという幻の植物“Vision”を探しています。旅の途中、山守の男・智と出会うが、智も「聞いたことがない」と。ジャンヌはなぜ自然豊かな神秘の地を訪れたのか。山とともに生きる智が見た未来(ビジョン)とは、一体…。主演キャスト以外も、智の目の前に突然現れる山守・鈴を俳優で三代目J Soul Brothersのメンバとしても活躍する岩田剛典さん、ジャンヌのアシスタントに美波さん、智や鈴とは違う形ながらも山に生き、山を守る猟師の岳を森山未來さん、同じく猟師の源を田中泯さん(特別出演)、自然と共存しながら森で暮らす女・アキに夏木マリさんと日本が世界に誇る名優が集結。河瀨監督渾身の最新作がついに完成披露を迎えました!
早速、監督・キャストの皆さんから一言ずつ挨拶が行われ、完成した本作品に対する興奮が伝えられました。

永瀬正敏さん
「(作品は)昨日誕生し、試写を観ました。毎回河瀨監督とご一緒すると見た後すぐに立ち上がれなかったり、樹木希林さんや監督を抱きしめたりということがあったのですが、今回は帰ってから心がドンと震えてきてしまって、結局寝れず、徹夜でここまで来てしまいました」

夏木マリさん
「河瀨監督の新しい作品がファンタジックに出来上がりました。私も昨日初めて観まして、ストーリーがめちゃくちゃ新鮮でございました。台本と全く違っておりましたので。(会場笑)でもこれが河瀨組の作り方で、役者が現場で演じたパーツを素敵につなげて頂いて、生きることや日本の自然など、河瀨監督の映画の世界がまたバージョンアップしたような、素敵に広がっていると思います。私はその中で千年生きた女を演じさせていただきました。本当に千年生きていたかどうかは、観て頂いてご判断いただければなと思います」

岩田剛典さん
「今回河瀨監督作品に初参加だったのですが、撮影の中で色んな洗礼を受けました。鈴として森の中で演じるのではなく、生きるということを監督から教えて頂きました。とても美しい映画になっています。観ている方が森の中に迷い込んだような錯覚に陥るくらい臨場感のある自然の描写だったり、深く美しい作品に参加できたこと、誇りに思います」

美波さん
「ジャンヌを智さんに託して、帰ってしまう役だったので、こんな終わり方、こんなジャンヌだったんだと映画を観て、びっくりしました。でも深い森に彷徨いつつも、どこか温かくてとても不思議で、こんな匂いを覚えているような、自分の過去を振り返ることができた素敵な時間でした」

河瀨直美監督
「千年は生きていないのですが、10本も長編映画を撮ってきた30年の歴史の中で、この時代にこの映画を誕生させたことを誇りに思っています。再生の土地、吉野でみんなが何か抱えながら、引き寄せられるように集まってきてそして離れていった。そしてこの映画ができあがり、今日みんなとここでもう一度会えたそのことが、私にとっての宝物です。この映画をみなさんと共に運んでいきたいと思っております」

続く質疑応答でも、河瀨組の映画メソッドから本作品への想いなどたっぷりと語って下さいました。

まだまだ、じゃの

司会者:吉野の森を再現したこのステージはいかがですか。
永瀬さん

「僕と岩田くんは、山守という山を守る役を演じたのですが、こういう背景で会見をやらせて頂くのが初めてで、今回の作品もね、海外で絶賛されている河瀨グリーンという河瀨さん得意の緑の中に居させてもらって、また帰ってきて、またみんなと会えて、グリーンの中に立っているというのは、幸せな気分です」
司会者:『あん』、『光』に続いて3本目のタッグとなった河瀨監督作品。すばり、いかがでしたか。
永瀬さん
「毎回違います。たぶん異次元からいらっしゃったんだと思います。僕が脚本読ませて頂いて、役を生きて積んでいく過程で、最後の最後まで監督と見ている到達点は絶対一緒なんだと、それは絶対に自信があります。ただそれよりもはるかに深く、はるかに遠くから見ている監督の目線が出来上がった作品の中にあって、まだまだだな、もっと頑張らないと、と思いました」
河瀨監督
「まだまだ、じゃの。映画の中で、智がアキに言われるシーンがあります、千年生きていますから」
永瀬さん
「まだまだだなと。本当に毎回違うので、新しい発見があり、新しい宝物を頂いている気がします」

司会者:実際に森の中での生活されたと伺いました。
永瀬さん
「河瀨組恒例のメソッドといいますか、実際に撮影で出てくる家にクランクインの2週間くらい前から、可愛い犬のコウと一緒に暮らして。智として血液を入れ替える、心を入れ替える作業を丁寧にやらせて頂く、その過程で山守の方々にチェーンソーの使い方などを教えて頂いたり、彼(岩田)は特殊伐採の工具を使いこなし、スルスルスルっとカッコよく木を登って行って、あっと言う間に2日くらいでやっていましたね」
河瀨監督
「芸能人辞めたら、山守になったらいいじゃん」
岩田さん
「すごく筋肉痛でしたよ」(笑)
河瀨監督
「あのシーン、かっこよかったです!」

千年生きる女の食べ物はおかゆでした

司会者:唯一、Visionを知る役柄アキについて教えてください。
夏木さん
「アキとして2週間くらい、吉野の山に住みました。演じることは置いといて、生きて暮らしている間に、ドキュメンタリーのカメラが入ってきているなと言う意識でした。
例えば、智がヨモギ団子を食べているというシーンが劇中にあるんですが、ヨモギ団子のディテールは映っていないのですが、みなさん、聞いてください!そのヨモギ団子、ヨモギを摘むところから始まります。きれいな緑がでるように、水に一日浸しまして、それを摺りまして、お餅をふかしまして、混ぜまして、あんこも作りまして、撮影の分量を考えないといけませんから、もうたくさん作りました。いまヨモギ団子に詳しいです。
私は監督から色々決まりを頂きまして、ノルマを頂きまして、そのアキの住んでいるお家から1時間かけて、毎日お地蔵さんの花と水をかえるようにということで、撮影がない日もお地蔵さんのところに行って、暮らして、薪でおかゆを作って、山で少し暮らせるような感じになったんです。だから本当に演じるというより暮らしてきました。
私2週間、i-phoneを取り上げられ、SNSも止めて、もう商売あがったりでした。(会場笑)でもすごくいい経験をさせて頂いて、私も岩田さんと同じ河瀨監督作品デビューなのですが、色々な洗礼を浴びました。アキは動物性のものを食べないだろうということで、2週間ずっとおかゆで、すっかりダイエットもできました。これまでの現場にない、新しい経験ができました」

メンバーからは、本当に森の人になっているよと

司会者:夏木さん同様に、河瀨組初参戦でしたが俳優・岩田剛典にとってどのような作品になりましたか。
岩田さん
「河瀨メソッド、洗礼を沢山受けましたね。演じるではなくて生きる、暮らすということで、衣装合わせの時から会場に夏木さんや森山さんがいらっしゃってもご挨拶にいけないんです。役の中でお会いする機会がない方とは一切口も聞くな、眼も合わせてはいけない、という取り組み方は初めてでした。最初に自分が登場するシーンが、永瀬さんと出会うシーンでした。これから撮影をご一緒するので、ご挨拶させて頂きたかったのですが、それも本番のカメラが回っているところで初めて鈴として智として、最初の初対面を撮影したいという監督の思いもあり、そういう部分を一番大事にされている監督なんだなと初日に理解しました。本当はクランクインする1か月くらい前から森に住んでくれとお願いされていたんですけど、ツアー中だったので、さすがに物理的に難しかったです。でも劇中に出てくるジュリエット・ビノシュさんも暮らしている設定の納屋に住ませていただき、寝起きと共に、顔にカメムシが3匹ほどついているような、虫と共存してましたね。夏の撮影の時に夏木さんが泊まられていた部屋に、自分も冬に泊まって」
夏木さん
「え?私、岩ちゃんと一緒のところに泊まっていたってこと?!やったー、それだけでテンションが上がります」
(会場笑)
岩田さん
「自分は自分の出ているシーンしか知らないですし、ジュリエット・ビノシュさんと永瀬さんとしかお会いしていないので、皆さんには昨日初号で初めてお会いしたんですよ。作品に対する監督の徹底したこだわりは、他の組に絶対ないものでしたし、演じるのではなくて、その地に根付いて暮らしているところを切り取って撮影するというのは、すごく刺激的でした」
河瀨監督
「もう鈴になっていたから、帰って、三代目のメンバーに心配されたんだよね?」
岩田さん
「そうですね、大丈夫?って言われましたね。顔つきが違ったみたいで。本当に森の人になっているよ。と言われました」

実はジュリエットと観光を楽しみました(笑)

司会者:美波さんも河瀨組はいかがでしたか。
美波さん
「皆さんに申し上げにくいのですが、ジュリエットとフランスから日本に来て、1、2週間、一緒にお醤油工場に行ったり、ボタニカルガーデンに行ったり、すごく楽しく過ごしていました。(夏木さん驚き)でも皆さんはTVもなく、お風呂もかまどでふーふーしてましたよね。私はジュリエットのファンで、この役に合格したことを知った時には号泣しましたし、彼女の演技を横で生で感じることができて、痺れました」

テーマの森はジュリエットの言葉から生まれた

司会者:吉野の森でオールロケをした本作品ですが、物語の着想をお聞かせください。
河瀨監督
「まずはジュリエット・ビノシュとマリアン・スロットプロデューサーと去年のカンヌ映画祭で出会ったことに始まります。そしてその後の3か月ですべての撮影の準備を整え、クランクインできたのは、吉野の人々の熱いサポートがあってこそでした。映画の撮影をするとなると、準備も大変ですし、宿とか食事とか整えなければいけない、ましてやジュリエット・ビノシュさんが来てどういったアテンドをすればいいのかなども。やはり世界的に有名な女優さんであっても、映画というものを中心に置くと、生身でぶつかるプロ意識があって。どんなところに住んでいようとも、たとえ爆弾が急に落ちてこようとも、私は絶対に逃げないという所信表明をジュリエットにはされました。
そして山、森というものをテーマにしようと思ったのは、日本の奥深い森に行ってみたかったというジュリエットの言葉と、私自身が日本においての森林の持っている意味を、ここ数年吉野の人たちに取材を重ねていく中で感じていたことがあったからです。吉野杉は、およそ500年前、江戸時代の頃に、苗を植えて、そこから木材を形成し、素晴らしい木目の材を生み出していたんです。ただ今現在、その担い手がいるかと言われるとそうではなく、こんなに美しい山の日本を代表する産業にもなりうるものが衰退していくということが、人間にとって、財産を失うってことになるんだろうなと思ったときに今回のテーマがどんどん膨らんで行きました。そしてジュリエット演じるジャンヌが、人類が発展し過ぎると、やがて自ら破壊し始めるということを劇中で言っていて、私たちが現代社会を生きていく中で、自分本位で生活をしていると、自然は疲弊するし、地球自体が疲弊するという状況の中で、何をしなければいけないかを考え、この物語を作り上げました。
作家として人間としての危機感がまず原点にあって、それをどう再生していけば、次の一歩を進んで行けば、豊かなものに変容していくのかというのが、この物語の始まりです」

その後、数多くの映画、舞台音楽を手掛け、グローバルに活躍している本作の音楽担当でジャズピアニストの小曽根真さんが、テーマ曲を生演奏し、会場は映画の世界に浸ります。演奏後に小曽根さんは、「いま演奏していて映像が溢れてきたので、即興でずいぶん足して演奏させて頂いたんですけど、自分で演奏しながら感動してしまいました」と思いを語って下さいました。


最後に河瀨監督から会場、そしてこの映画を待っているファンに向けてメッセージが送られ、会見は終了となりました。

吉野の森が人々を引き寄せました!

河瀨監督
「吉野の森は人々を引き寄せました。ここに集った素晴らしき日本を代表する俳優陣、そしてその気配。それらがこの映画『Vision』に集結し、ここに誕生しました。この人たちにもう一度会いたい、繰り返しあの人に会いたいという切実な思い。もう会えない人もいる、でもあの人の気配を忘れない限り生き続ける。この映画に出会いに来てください、私たちのチームが待っています」

吉野の森を再現した会場で力強く輝くキャストの皆さん、そのキャスト陣を虜にした河瀨監督、大曽根さんの美しいピアノの音色。こんなアート作品のように美しい会見は経験したことがありません。物語の一部が明かされたものの、まだ多くが謎のベールに包まれている未来(ビジョン)に期待が膨らみます。
河瀨直美監督、ジュリエット・ビノシュさん&永瀬正敏さんダブル主演の映画『Vision』は6月8日(金)全国ロードショーです。

キャスト:ジュリエット・ビノシュ 永瀬正敏 岩田剛典 美波 森山未來 コウ 白川和子 ジジ・ぶぅ 田中泯(特別出演) ・ 夏木マリ
監督・脚本 河瀨直美
製作:LDH JAPAN SLOT MACHINE 組画
エグゼクティブプロデューサー:EXILE HIRO / プロデューサー:宮崎聡 Marianne Slot 河瀨直美
撮影:百々新 / 照明:太田康裕 / 録音:Roman Dymny 森英司 / 美術:塩川節子 / 編集:Francois Gedigier 渋谷陽一 / 音楽:小曽根真
企画協力:小竹正人 / 制作プロダクション:組画 / 配給:LDH PICTURES ©
コピ―ライト:©2018“Vision”LDH JAPAN, SLOT MACHINE, KUMIE INC.
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