
2021 年 6 月 26 日(土)~7 月 2 日(金)
池袋シネマ・ロサにて、1週間限定レイトショー決定!
池袋シネマ・ロサにて、短編映画『いきうつし』、『ぬけがら』の2作品併映による、田中晴菜監督特集上映が決定しました。生人形師の男と、病に冒された少女の恋を幻想的に描いた『いきうつし』は、あいち国際女性映画祭グランプリ、第42回アジアンアメリカン映画祭公式招待を始め、多くの国内外映画祭にて受賞・上映。
喪失感を抱えた人々が雨の中邂逅する様を描いた『ぬけがら』は、第 38 回トリノ映画祭国際短編コンペティション部門公式招待、本作一部映像から再構成されたMVは、ROTH BART BARON Music Video Award LOUD COLOR(S) FESTIVAL にて『CHEEZY MAN』公式 MV に採用されるなど、今後も国内外での活躍が期待される、田中晴菜監督初の劇場での特集上映となります。また、最新作『幸福な装置』特報が、特集上映に合わせ、劇場にて同時公開されます。
『いきうつし』で生人形師の亀八を演じるのは、『愛しのダディー殺害計画』(イリエナナコ監督)、『デイアンドナイト』(藤井道人監督)、『ケンとカズ』(小路紘史監督)など、出演作の公開が続く岡慶悟。
病に冒された少女、椿を演じるのは、『DEPARTURE』(園田新監督)山形国際ムービーフェスティバル最優秀俳優賞など、多くの映画において鮮烈な印象を残す笠原千尋。
『ぬけがら』で喪失感を抱えた女性、ひばり役を演じるのは、『書くが、まま』(上村奈帆監督)、『つむぎのラジオ』(木場明義監督)等、近年主演作が多数公開されている長谷川葉生。物語に変化をもたらす太一役を演じるのは、ヨルシカ『盗作』、『創作』MV などで、圧倒的な存在感を放つ田中一平。田中晴菜監督独自の世界観の中で、多彩な魅力を放つ俳優陣を堪能出来ることも、本特集上映の見所の一つです.
上映期間中は、舞台挨拶等のイベントの他、劇場ロビーでの衣装・小道具等の展示、監督・キャストによる撮り下ろしインタビューの公開等を予定しています。
上映スケジュール
2021 年 6 月 26 日(土)~7 月 2 日(金)
池袋シネマ・ロサ1週間限定上映
チケット情報
前売券:1,300 円、当日券(一般):1,500 円
リピーター割引:1,300 円(半券提示)
コメント
菱川勢一(映画監督、写真家、クリエイティブ・ディレクター / DRAWING AND MANUAL)
谷崎潤一郎が「陰翳礼讃」で示したのが日本文化の中に潜む気配の芸術性だった。田中晴菜の作品を鑑賞して間もなく頭に浮かんだのがこの気配のことだった。沈黙や余白や黒というのを映像に取り入れた時に映画監督には恐れがある。時間軸を味方につけた表現で間を空けることはそこに流れる静寂によって観る人の心を惑わすことになるからだ。田中監督の作品の真骨頂はこの気配の表現にある。時に映像ではなく絵画に見えてくるのも時間というものとの折り合いの付け方に田中独自の芸術性を感じることができる。狂ったように伱間を埋めようとする情報過剰の現代に田中晴菜が余白を魅せてくれていることに素直に喜びたい。ふと手に取る詩集のような作品を今後も楽しみにしている。
篠原哲雄(映画監督 /『月とキャベツ』、『花戦さ』、『犬部!』)
田中晴菜さんの映画には不思議な夢を見ているような心地良さがある。
『いきうつし』では人形師が作る自分の分身が生まれ変わって生きていくような錯覚を得て楽しい。俳優が何役も演じ分ける微妙な同義性を狙っている効果もあるだろう。不思議な美しさが漂うさまは『ぬけがら』でも一貫していて、自分の殻に閉じこもった女が脱皮して町を彷徨うさまが突然現在性を帯び、映画ならではの魔法にかかってしまうのだ。とりわけ二作に通じる女性たちの艶かしさは一体どこから生まれてくるのだろう。いきうつしが続いているかのようである。
坂井昌三(シナリオ・センター講師)
「心地よく予想をくつがえす人」
田中晴菜監督を一言でいえば、私感ですが、ことごとく予想をくつがえす人だと思う。今なお僕の予想をくつがえし続けています。
映像に対する美意識とセリフのセンスが、他の人とはまるでちがう田中晴菜さんの異能ぶりを、僕がはじめて知ったのは、今回上映の『いきうつし』の映画ではありません。
そのもとになったシナリオが晴菜さんとの出会い。5年前、そのオリジナルシナリオはコンクールで奨励賞を受賞。あふれんばかりの美意識過剰なシナリオから、驚きというか、僕は、それこそ心地よい衝撃を受けたのです。
皆さんにも一言。『いきうつし』のオリジナルシナリオを読んで僕と心地よい驚きを享有してみませんか?
岡安賢一(伊参スタジオ映画祭実行委員長)
田中晴菜監督は知っている。
人がとても儚いということを
人がとても矛盾しているということを
人がとても美しいということを
そして、
それを伝えるのは映画であるということを。
作品情報
『いきうつし』
(2018 年/日本/30 分/カラー/DCP)
あらすじ
仏師として立ち行かず、見世物小屋の生人形制作で糊口をしのぐ亀八。興行で立ち寄った土地の名士から、不治の病におかされた娘を美しいまま写した人形制作を依頼される。一度も家の外に出たことのない椿と、興行で土地を転々とする亀八、二人は次第に惹かれ合うが、人形の完成が近づくにつれ、椿の身体は動かなくなっていく。
監督コメント
美しさでも、精緻さでも、信仰心でもなく、対象への異様な執着を技術で焼き付けた人のようなもの「生人形」。たましいの在りか、テレビと教養に蹂躙された見世物小屋、活動写真と入れ違いに廃れていった生人形を、映画で描きたいと思った。今生のうちに長編で描きたい題材のひとつ。
生人形とは?
江戸末期から明治にかけて見世物として制作された木製、等身大の人形。歯や毛髪の一本一本まで、本物と見紛う程の精巧さで作られたことからそのように呼ばれた。国内に現存するものには、熊本市現代美術館蔵、安本亀八作《相撲生人形 野見宿禰と当麻蹶速》などがある。
キャスト
岡慶悟
笠原千尋
スタッフ
製作・脚本・監督・編集:田中晴菜
撮影・照明:岡田翔
録音:岩松道朗 野中慎二
助監督:望月亜実
撮影助手:野中慎二 酒井要
照明助手・制作:吉岡茂
録音助手・制作:馬場雅司
小道具・制作:若菜滋子
衣装・ヘアメイク:竹本磨理子(Anita Hair Make Office)
グレーディング:岡田翔
整音:岩波昌志(ディオス)
効果:佐久間みなみ(ディオス)
MIX D’IOS:中野坂上スタジオ
音楽:蓑地理一
主題歌:NSTINDANCETON
車輌:田廣亮
スチル:福島正次
題字:中谷貴美子
協力:オフィスモノリス
機材協力:ニューシネマワークショップ
撮影協力:三鷹ユメノギャラリーen
『ぬけがら』
(2020 年/日本/15 分/カラー/DCP)
あらすじ
何かの気配を感じて目覚めた朝、ひばりは庭で蛇のぬけがらを見つける。ひばりの時間はある日から止まったまま、戻りゆく日常を受け入れられずにいた。夫が玄関先に置いて行った弁当を持って家を出るひばり、やがて雨が降り出す。煙草屋の軒先で雨宿りをしていた太一は、ひばりに借りた黄色い傘を媒介に、白昼夢を見る。
監督コメント
登場人物たちは、それぞれの主観で世界を見ていて、その世界は少しずつずれている。泣きながら起きた朝に書きとめた、おぼろげな夢のような世界の中で、傘を媒介にして伝染していく記憶、あなたが居たはずの、他の誰も埋められない空席、遠くから自分自身を眺めているような感覚を「ぬけがら」として描いてみたいと思った。
キャスト
長谷川葉生
田中一平
岡慶悟
中島颯一朗
スタッフ
製作・脚本・監督・編集:田中晴菜
撮影:岡田翔
照明:田中銀蔵
撮影照明助手:野中慎二 貝田祐介
録音:岩瀬航
助監督:望月亜実
助監督補佐:寺谷千穂
小道具・衣裳:佐々木里絵
美術・小道具:吉岡晶
助監督補佐・制作:馬場雅司
車輌・制作:小松豊生
制作:吉岡茂
制作応援:山田亮
ヘアメイク:上原幸子 竹本磨理子(Anita Hair&Make Office)
スチル・タイトルデザイン:西田 幸司
カラーグレーディング:岡田翔
音楽:蓑地理一
整音:岩波昌志(ディオス)
効果:佐久間みなみ(ディオス)
MIX D,IOS:中野坂上スタジオ
英語翻訳:マイケル・ファンコーニ
スチル機材協力:株式会社コシナ
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