K-POPのグローバル化とも呼応する、爽やかな音楽ロードムービー『ぼくの歌が聴こえたら』
- 2022/6/10
- 映画評
- チャンヨル, ぼくの歌が聴こえたら
- コメントを書く

【音楽に注目!新作レビュー】
映画『ぼくの歌が聴こえたら』
韓国の人気グループEXO(エクソ)のチャンヨルが初主演作で演じるのは、天賦の才を持ちながら幼少期のトラウマにより人前で歌うことができなくなってしまった青年チフン。
彼が、確かな審美眼を持ちながらも金銭トラブルの絶えない音楽プロデューサーのミンスと出会い、自己を開放していくまでの過程を描く、爽やかなロードムービーだ。

© 2021 STUDIO TAKE ALL RIGHTS RESERVED.
繊細な役柄を見事に演じるチャンヨルはもちろん、人情に厚く憎めないマネージャーを演じるチョ・ダルファンがいい味を出していて、チフンとミンスのバディ・ムービーとしても楽しむことができる。

© 2021 STUDIO TAKE ALL RIGHTS RESERVED.
コールドプレイ「A Sky Full of Stars」、ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」、ファレル・ウィリアムス「Happy」といった世界的ヒット曲が惜しげもなく披露されているが、単なるバックグラウンド・ミュージックではなく、ストーリーの流れのなかで必然として使用されている点にも注目。音楽家とマネージャーの友情、そして主人公が自らの殻を破って成長していくというパーソナルな物語ながら、ますますグローバル化する近年のK-POPの隆盛とも呼応する内容となっている。
チャンヨルが作詞を手掛けたオルタネイティブ・ロック的な「Break Your Box」が流れるエンディングでは、清々しい気分になれること請け合いだ。
文:駒井憲嗣

© 2021 STUDIO TAKE ALL RIGHTS RESERVED.
『ぼくの歌が聴こえたら』予告編映像
あらすじ
新人発掘の才能がありながら運に見放され、今では借金まみれとなってしまった音楽プロデューサーのミンスは、ある日駐車場の受付でギター片手に歌っていたチフン(チャンヨル)と出会う。その歌声に感動し、バックバンドを従えて堂々と歌う将来までも頭に浮かんだミンスは、躊躇するチフンを半ば強引にスカウトして10回のライブを契約させてしまう。天才的な才能がありながら少年時代のトラウマで人前では歌えないというチフンにミンスは冷蔵庫用の大きな段ボールを用意。勝ち気なミンスと内気なチフン、全く性格の違う2人の共通点は”音楽”だけ。果たしてライブツアーを成功させることができるのかー?
キャスト
チャンヨル、チョ・ダルファン
監督・脚本
ヤン・ジョンウン
2021年/韓国/韓国語/93分/シネスコ/5.1ch
原題:더 박스
英題:THE BOX
日本語字幕:江波 智子
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
公式HP:bokuno-uta.com
© 2021 STUDIO TAKE ALL RIGHTS RESERVED.
6月10日(金) シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
コメント