ジョニー・デップ近年一番のハマり役!『L.A.コールドケース』
- 2022/8/5
- 映画評
- L.A.コールドケース, ジョニー・デップ, フォレスト・ウィテカー, ブラッド・ファーマン
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【音楽に注目!新作レビュー】
『L.A.コールドケース』
人気絶頂のなか起こった2大ラッパー、2パックとノトーリアス・B.I.G.の射殺事件は、90年代のヒップホップ隆盛における象徴的な事件であった。この作品は、ふたりの音楽的な功績を追うのではなく、事件の背後にどのような抗争があったのかを探ることで、ヒップホップの影響力を浮かび上がらせる。

© 2018 Good Films Enterprises, LLC.
ストーリーの中心となるのは、未解決のままのこの射殺事件を追い続けている元刑事ラッセル・プール。ノトーリアス・B.I.G.と《バッド・ボーイ・レコード》、2パックと《デス・ロウ・レコード》といういわゆる東対西の構図に、実はLA市警の汚職が絡んでいるのではという情報をプールは掴んでいたが、内部告発しようと試みる彼の動きに、数々の障壁が立ちはだかる。

© 2018 Good Films Enterprises, LLC.
事件解決のために心魂を傾けるプール役のジョニー・デップが素晴らしい。あまりに実直に事件を追うがために職を追われ、壊れてしまった家族との絆を再び回復したいと願い、悲哀をにじませながらも黙々と捜査を続けていく。プールの執着心が生む緊張感が映画全体のトーンとなっており、『MINAMATA-ミナマタ-』のユージン・スミスに続き実在の人物を演じるという意味でも(制作は今作のほうが先)、デップの近年一番のハマり役と言えるだろう。重厚な彼の雰囲気に対して、プールを取材しようと接触する記者を演じるフォレスト・ウィテカーのいくらか軽妙な佇まいもいい。

© 2018 Good Films Enterprises, LLC.
事実を基にしている通り、最終的にこの物語では真相は明らかにされないままだ。しかし、孤軍奮闘する主人公の姿を通して、腐敗した巨大組織に屈しない強い意思の大切さを感じることができるだろう。
文:駒井憲嗣
『L.A.コールドケース』予告編映像
あらすじ
ロサンゼルス市警の元刑事ラッセル・プール(ジョニー・デップ)は、彼にとって最大の事件、90年代の伝説的なヒップホップラッパー、2パックとノトーリアス・B.I.G.の殺人事件を解決出来ずにいた。事件発生から18年経ってもなお犯人は特定されず、謎に満ちていた。一方、独自に事件を追うジャーナリスト、ジャック・ジャクソン(フォレスト・ウィテカー)は、なぜラッセルがこの事件に執着しているのか、そこから捜査が進まない原因を突き止めようとする。さらに、プールはノトーリアスの事件に警察官たちの関与を疑い捜査を深めていく。そして、プールとジャクソンは複雑に絡む事件の真相に迫るが……。
出演
ジョニー・デップ、フォレスト・ウィテカー
監督
ブラッド・ファーマン
2018年/アメリカ・イギリス/英語・スペイン語/112分/カラー/スコープ/5.1ch
原題:CITY OF LIES
© 2018 Good Films Enterprises, LLC.
配給:キノフィルムズ
提供:木下グループ
公式HP:la-coldcase.jp
8月5日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、グランドシネマサンシャイン池袋他ロードショー
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